木材塗装に使用されている体質顔料 (砥の粉, 地の粉, 錆土) の13種を採取し, 木地形成の機構究明を目的として熱的性質の加熱減量分析, 示差熱分析, および赤外吸収曲線ならびに電子顕微鏡観察などからも実験を行なった。
本報では, 体質顔料の鉱物成分のみについて行なったものを報告する。
その結果化学組成からは, 珪酸, アルミナ, 鉄で約80%以上の含有量を占め, そのほかに, 加里, 石灰, マグネシヤ等が含まれ, 粘土鉱物にみられる化学組成を有していた。
X線回折試験等では, 非粘土鉱物の石英, 長石のほかに, 雲母鉱物のイライト, カオリン鉱物のカオリナイト, またはハロイサイトや, その他モンモリナイト, クロライト等が混在していることが明らかとなった。
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