エマルション塗膜の付着に及ぼす顔料効果を明らかにする目的で実験を行なった。表面処理の異なるTiO
2・CBと市販のPVAcおよびAcrylを用い, PVCの一連に異なるニナメルを調製し, 各種付着試験法により測定した。同時に結果の解析に役立つ塗膜の応力~ひずみ性・動的粘弾性の温度依存・吸水膨潤度や塗液の沈降体積・GPC測定も行なった。結果を要約すると次のようである。
(1) 顔料S-5 (Al, Si処理TiO
2) はS-4 (A1処理TiO
2) に比べ, 破壊伸び~PVC関係・沈降体積・GPCの結果から, 顔料/ビヒクル間相互作用が大きい。
(2) 顔料/ビヒクル間相互作用の大きい系ほど付者強さが大きく, 相互作用は付着強さを決める重要な要因の1つと考えられる。
(3) JIS塗料一般試験法や静的・動的物性測定で識別できないような微妙な塗膜物性の差異も付着強さに反映する。
(4) 塗膜の付着現象は純粋な界面現象でも, 純粋に塗膜バルクの物性に支配される現象でもなく, これらの物性の複雑な相乗作用の反映と考えられる。
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