赤外線吸収スペクトルなどから表面処理の十分行われていることの確かめられたアルコール処理シリカゲルの熱分解が, アルコールの気相またはシリカゲル上の熱分解と比較検討された。アルコールの気相熱分解では脱水素, 脱水反応が併発し, シリカゲル上での熱分解はシリカゲルが脱水反応を選択的に促進する触媒として作用する。これに対し処理シリカゲルの熱分解は350~500℃で起き, 分解生成物は相当するオレフィンでありアルコールの熱分解とは異なるから, 付着基はアルコキシ基として基体と化学結合していると考えられる。450℃で真空加熱したシリカゲルの付着基は完全に除去されると認められた。未処理シリカゲルの毛管分布, 全毛管容積, 表面積は450℃までの温度での加熱では変化しない。これより高温での処理では固結または焼結により表面積, 全毛管容積は減少する。処理シリカゲルの表面積, 全毛管容積などは未処理シリカゲルのそれらより小さいが, これらを加熱処理し付着基を除去すると表面基の減少につれて増加し, 450℃処理のものは未処理シリカゲルのそれらにほぼ一致する。これらのことからシリカゲルのアルコールによる表面処理でオートクレープ法は, 基体であるシリカゲル表面の二次的構造に変化を与えず粉体の表面性状のみを変化する (親水性→親油性) のに有効な方法と認められた。未処理, 処理シリカゲルの形態などが走査型電子顕微鏡で検討された。
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