アルミナ水和物であるハイドラルジライトおよびベーマイトのアルコール処理を還流法で行ない, 処理による構造および表面性状の変化について検討した。
その結果, ハイドラルジライトは200℃付近から構造水の脱水が起こり始め, 241℃ではベーマイトおよび中間アルミナの混合物に変化した。また, この構造変化と同時に, これらの粉体の表面水酸基はエステル化され, 表面は親油 (疎水) 化された。アルコールを加えずに溶媒 (アルカン) だけで還流処理した場合でも, アルコール処理の場合と同様にハイドラルジライトはベーマイトや中間アルミナに変化し, 表面にその量はわずかではあるが有機物が導入された。これは, 還流処理によってアルカンの一部が酸化されてカルボン酸が生成し, これが表面でアルミニウム塩を形成したためであった。これらの処理で生成した中間アルミナは, その復水能からρ-アルミナであろうと推定した。ベーマイトを処理した場合も処理条件によっては, 表面は親油 (疎水) 化されたが, 構造変化はまったく認められなかった。なお, ハイドラルジライトおよびベーマイトともに, 処理による粒子形状の変化はなく, これらの粒子は元の外形を留めた形骸粒子をなしていた。
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