沈殿から得られた硫化カドミウムとヨウ化カリウムの混合物を加熱処理し, 加熱処理過程における硫化カドミウムの色調の変化を検討した。
加熱処理は300-500℃, 2時間の条件で行なった。沈殿から得られた硫化カドミウムとヨウ化カリウムの混合割合は1 : 0.5 (モル比) であり, 熱処理生成物は0.02-1.8μの平均粒子径をもつ粒度のそろった球形の硫化カドミウム粒子である。同じ硫化カドミウムを単独で同条件加熱処理し, 諸性質の比較の対象とした。
加熱処理された試料は分光反射率曲線X線回折図形, 電子顕微鏡写真, 比表面積の測定結果から検討された.
熱処理温度の上昇とともに彩度, 明度は大きくなり, 色相は浅色化するが, ヨウ化カリウムと混合して加熱処理したものは, 500℃で彩度, 明度は小さくなり, 色相が深色化することが認められた。色調の変化は熱処理温度350℃までは結晶性, 相転移および粒子径が影響し, 350℃以上では特に粒子径の影響が強いことがわかった。また, 彩度, 明度が大きく, 黄色みのもっとも強い色調を示すのは粒子径が可視光線の波長程度の大きさであることが認められた。
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