水酸化カルシウムと二酸化イオウとの反応系 (0~40℃) に2価金属イオンを少量 (4.0×10
-4~2.0×10
-3M) 添加することにより, 反応生成物である亜硫酸カルシウム半水和物?ほとんどが球晶 (粒径 : 2~18μm) として得られることが明らかにされた。半水和物球晶の生成率が極大になる濃度は金属イオンの種類により異なっており, 反応を5℃で行なった場合, 銅 (II) イオンが4.0×10
-4M, 亜鉛 (II) イオンが1.0×10
-3M, ニッケル (II) イオンが2.0×10
-3Mであった。反応を5℃で行なった場合は銅 (II)イオンの濃度が1.0×10
-4Mから5.0×10
-3Mへと増大するにともなって, 半水和物球晶の平均粒径は5.94μmから7.78μmへと増大した。銅、 (II) イオンを4.0×10
-4Mになるように添加して反応を行なった場合は0℃から30℃までは半水和物球晶の生成率に変化は認められなかったが, それ以上の温度になると球晶の生成率が低下し, 50℃では大部分が半水和物の無定形集合体として生成した。銅 (II) イオンを添加 (4.0×10
-4M) した系では反応温度の上昇にともなって半水和物球晶の平均粒径が7.07μm (5℃) から11.5μm (30℃) へと徐々に増大することが確かめられ, 温度の調節によっても球晶の粒度制御が可能であることが明らかにされた。また, 金属イオンの添加により生成した半水和物球晶の人工的破断面の走査電子顕微鏡写真から, この球晶が板状および柱状の半水聯物結晶の高密度放射状集合体であることが明らかにされた。さらに, 球晶に対する金属イオンの吸着に関してもXMA分析の結果をもとに考察が加えられた。
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