シリカゲルの表面シラノールを, アゾ染料であるスダンI (1-フェニルアゾ-2ナフトール) に類似の構造に誘導して, シリカゲルを核とする赤色の有機顔料を製造することに成功した。すなわち, 表面シラノールを芳香族アルコールあるいはフェノール ((CH
2) n-OHただい, n=0, 1, 2, 3) でエステル化してシリカゲル表面にフェニル基を導入し, このフェニル基をニトロ化, 還元, ジアゾ化, カップリングして, スダンIに類似の表面基をシリカゲル表面上で合成する方法である。
その結果, 得られた顔料の色相はスダンIのそれとほぼ同様であったが, エステル化の際に用いたアルコールのメチレン鎖が短いものほど色合いが淡く, フェノールを用いたものが最も淡くなった。このことは, シリカゲル表面に合成したスダン1に類似の表面基の量に対応していると推定した。また, このメチレン鎖が長いアルコールを用いて製造した試料ほど加水分解を受けにくいことも認めた。
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