さび止め塗料中の鉛の定量法として, 原子吸光法とJISK-5400の方法との2つの方法について比較検討した。
原子吸光法では, さび止め塗料 (鉛含有量 : 6.60~68.6%) を濃硝酸で湿式分解した後, 検量線法により鉛を定量した。測定条件は, アセチレンー空気の少燃料フレーム (測定波長 : 283.3nm) および水素-空気の多燃料フレーム (測定波長 : 217.0nm) の両条件を使用した。その結果, 5回の繰り返し実験で得られた標準偏差パーセントは0.6~1.6%, 回収率は96.0~100%, 分析所要時間は10試料につき約4~5時間であった。また, JISK-5400の方法では, 5回の繰り返し実験で得られた標準偏差パーセソトは0.7~3.8%, 回収率は91.2~98.6%, 分析所要時間は5試料につき約12~14時間であった。
以上の結果より, 塗料中の鉛の定量法として原子吸光法がJISK-5400の方法より精度, 正確さおよび迅速性においてすぐれていることがわかった。
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