エポキシ樹脂とメタクリル酸スチレン, およびアクリル酸エチルからなるアクリルモノマーとを混合し, シート状に成形したものに電子線を照射すると, 固形状の水分散可能なグラフト重合組成物が得られた。ここで, 樹脂の合成条件と得られるグラフト重合組成物の性質との関係を検討した。
グラフト重合組成物のGPC分析を, 屈折率とUV吸収スペクトルとの2つの検出方法で同時に行い, アクリル共重合体を含むポリマーとエポキシ樹脂を含むポリマーとの分子量分布を別々に測定した。アクリル共重合体を含むポリマーのピーク分子量は10万であり, 溶媒を必要とする熱法と比較して比較的大である。エポキシ樹脂濃度が大の時, および, エポキシ樹脂の分子量が大の時に, アクリル共重合体を含むポリマーの分子量が大となり, 本方法は高粘度下の重合であることが1つの大きな特徴である。
分別沈殿法によりグラフト率を求めた所, 15%以上であり, 10%以下の触媒法と比較して大である。これも高粘度下の重合の特徴である。
線量率が大となるほどアクリル共重合体を含むポリマーの分子量は小さく, グラフト率は逆に大となる。活性種濃度が大となると, 停止反応が起こりやすくなると同時にグラフトの開始点の増加することを示した。
得られたグラフト共重合組成物を混練後, アルカリ性水溶液を加えることにより乳化物が得られる。この乳化物を塗布, 加熱乾燥することにより強じんな塗膜が得られた。
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