無機顔料とアマニ油変性アルキド樹脂との相互作用をTGAとDTAを用いて検討した。
顔料とアマニ油変性アルキド樹脂の等量混合物を試料とした。
エメラルドグリンは, アマニ油変性アルキド樹脂の変性油部分の酸化反応 (反応1), フタル酸-グリセリンェステル基の酸化分解 (反応2), 変性油のエステル基の酸化分解 (反応3), 変性油の重合物の酸化分解 (反応4) の各反応を促進した。空気中500時間保存した試料は, 混合直後の試料よりも劣化が大きく, 保存中にエメラルドグリンが上記反応を促進している。
ZnCrO
4・H
2Oの作用は, エメラルドグリンとほぼ同じであるが, 空気中500時間保存したものは酸化重合反応を促進した。
ビリジアンでは, 混合直後の試料は反応1を促進するが, 500時間空気中保存試料では, 反応1, 2, 3, 4が促進された。
CdSでは, 混合直後の試料は反応1, 2および酸化重合反応を促進する。500時間空気中保存試料でも混合直後の試料の効果と類似しており, 空気中の保存中における顔料の作用は非常に少ない。
ウルトラマリンでは, 反応1に対する効果がみられるのみであるが, 空気中500時間保存試料ではさらに反応1, 2の効果がみられた。
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