モノマー組成が同じで, 分子量が一連に異なる水酸基含有アクリル・オリゴマーを低核体メラミン樹脂で硬化し, 塗膜の機械的性質に及ぼす分子量と焼付温度の影響を検討した。また促進耐候性試験による経時的な塗膜の物性変化を検討した結果, 次のような知見を得た。
(i) アクリル・オリゴマーの分子量が低下するほど塗膜の物性に及ぼす焼付温度の影響が大きい。
(ii) オリゴマーの分子量低下に伴い塗膜の
Tg, 抗張力, ヌープ硬度は低下し, tanδ, 架橋間分子量, 破断伸びは増大する。本研究に用いた試料では, オリゴマーの
Mn>1000では分子量効果は末端自由基に依存し,
Mn>1000では, さらに非官能性, あるいは単官能性オリゴマーの存在が塗膜の物性低下を助長する。
(iii) 硬化塗膜のTgの分子量効果は, 硬化前のオリゴマーのTgをよく反映し, いずれも
Tg=
Tg∞-
K/
Mnで整理できる。
(iv) 本研究に用いたハイソリッド塗膜のような高架橋膜では, 架橋間分子量の計算はゴム弾性理論より, log
10G=7.0+293ρ/
Mcが適切である。
(v) 低分子量オリゴマーよりなる塗膜ほど促進耐候時の物性の変化が大きい。
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