メチルメタクリレ-ト (MMA), ヒドロキシエチルメタクリレート (HEMA), スチレン (ST) 系のメタクリル酸共重合樹脂と, ブチル化メラミン樹脂とからなるメタクリル酸樹脂塗膜の光劣化機構を解明するため, MMA, HEMA, ヒドロキシnチルアクリレート (HEA), STを用いてMMAIHEMA/ST共重合樹脂とその他のモデル化合物を合成し, それぞれのメタクリル酸共重合樹脂膜, ブチル化メラミン樹脂膜, およびメタクリル酸樹脂/ブチル化メラミン樹脂混合塗膜とを, 液体窒素中 (-196。C) で高圧水銀ランプ (主波長365nm) を用いて照射し, 生じたラジカルをESR装置を用いて捕捉した。
さらにMMA/HEMA/ST系のメタクリル酸共重合樹脂塗膜を低圧水銀ランプ (主波長254nm) を用いて48時間照射し, 照射前後の塗膜のFT-IRを測定した。
これらの結果より, メタクリル酸樹脂塗膜の光劣化機構は, 水素ラジカル, メタクリレートラジカル, メチルラジカルなどの不安定ラジカル生成を経て, 酸二量体とベンジル化合物とを生'じて劣化していくと推定した。
つぎに, アソトラピリミジン顔料をラジカルトラップ剤として用い, ST量を変化させたMMA/HEMA/ST系共重合樹脂塗膜に, 高圧水鈑ランプおよび低圧水銀ランプ照射を行い・生じたアントラキノンラジカル (g=2. 0042) 量を測定した。いずれの水鈑ランプ照射でも, ST量の多い樹脂塗膜ほど, ラジカル生成量が多く, また低圧水銀ランプおよびサンシャインウェーザーメーターで暴露した塗膜の光沢保持率は低く, 色差は大きかった。
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