食用黄色4号アルミニウムレーキ市販製品について, NaCl水溶液中における染料溶出特性を調べた。
溶出染料イオン濃度 [
D]
sを顔料/溶液比
Wpおよび時間の関数として測定することにより, 次のような特徴を有する一連の溶出曲線が得られた。
1. [
D]
sは
Wpの大なるほど大になる。
2. [
D]
sの時間変化は, 一様に増加するものと, ある時点で最大値に達したのち減少に転ずるものとがある。
この結果は, 耐溶出性の比較を, 通例行われているように,
Wpおよび時間に関し一定条件下で測定された [
D]
sの値をもってすると, その条件の設定のし方によって評価が逆転しうることを示している。このような溶出特性は, 溶液中の陰イオンとレーキ中の染料アニオンとの間のイオン交換反応が, レーキ顔料粒子の表面から内部に向かって~40A程度の厚みで存在する溶出反応層において起るという溶出機構によって説明された。この機構にもとづき, 1/[
D]
sと1/
Wpの間に成立する直線関係から, 分配係数Kおよび溶出反応層の分率ηという本質的な意味をもつ数値を導く方法が与えられ, 耐溶出性に対する正しい評価が可能となった。
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