色材協会誌
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59 巻, 7 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 村上 泰弘, 鄭 基市, 川口 恭司, 野田 知久, 秋本 裕二
    1986 年 59 巻 7 号 p. 385-390
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    三本ロールミルにおいて, 分級と分散が同時に進行する場合のシミュレーションモデルを考え, 実測値と比較した。シミュレーションモデルは, 二本ロールミルに対するモデルを三本ロールミルに拡張することにより得た。実験には, 顔料としてフライアッシュ, 炭酸カルシウムを使い, 分散媒として重合アマニ油を用いた。これらを所定の粒子濃度で予備混合した後, 三本ロールミルに通し, つぶゲージ値を測定した。かき取った試料の密度変化, 分級の強さについては既報の実測値を使用した。
    かき取った試料の密度変化と分級の強さは, シミュレーション計算によって良好に表すことができた。分散前と後のつぶゲージ値の比は, 二本ロールミルの場合と同様に, 分散前のつぶゲージ値とロール間間隙の比によって, 粒径水準, 粒子濃度によらず一本の曲線で相関されたが, この傾向はシミュレーションによる計算値によっても表すことができた。
  • 上田 智昭, 坪田 実
    1986 年 59 巻 7 号 p. 391-397
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    鉛筆引っかき試験の測定機構に知見を得る目的で次の実験を行った。まず, 鉛筆の硬度記号と芯のVickers硬さ (Hv) との相関性を調べた。次に, Sn, ZnまたはPbを用いて試作した組成・硬さの明らかな合金芯を鉛筆と同様に用い, 硬さの一連に異なる種々の塗膜について引っかき試験を行った。そして, これらの引っかき試験値と塗膜の諸物性値との関係を調べた。実験結果をまとめると次のようである。
    (1) 検査済鉛筆の硬度記号とHvには相関が認められた。
    (2) 鉛筆および合金芯による引っかき値と塗膜のHv値・モジュラス値との関係は明瞭でなく, 引っかき試験は塗膜の硬さのみを評価する試験ではない。
    (3) 鉛筆芯と合金芯とを比較すると, 合金芯による引っかき値は鉛筆芯のそれに比べて塗膜の抗張力の差異をより明確に反映した。
    (4) 塗膜の引っかき値に対応する芯のHv値は合金芯の方が鉛筆芯のそれに比べ常に高かった。鉛筆芯が脆性破壊による欠損であるのに対し, 合金芯は塑性変形することがその原因と考えられる。
  • 酸素の活性種の作用
    井原 辰彦, 伊藤 征司郎, 桑原 利秀, 木卜 光夫
    1986 年 59 巻 7 号 p. 398-403
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    プラズマ処理によるカーボンブラックの酸化反応機構に関する知見を得るために, 原子状酸素の生成が容易な亜酸化窒素や酸素の活性種を含むプラズマ活性化酸素によるカーボンブラックの低温プラズマ処理について検討した。また, マクロード真空計の水銀蒸気の処理におよぼす影響についても調べた。
    水分散性の良好なカーボンブラヅクを得るには, 酸素の活性種の生成を極力少なくし, 試料表面に生成したラジカル活性点と酸素分子との反応が多くなるような処理条件で処理するほど好ましいことがわかった。これらの結果は, カーボンブラックのプラズマ酸化反応が, 主として, ラジカル自動酸化反応によって進行するというこれまでの結論を支持しているといえる。また, 水銀蒸気は, プラズマ中の原子状酸素を捕獲し, 試料の分解を抑制する作用を持つことがわかった。
  • 竹島 鋭機, 川野 敏範, 水木 久光
    1986 年 59 巻 7 号 p. 404-409
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    従来, 濃彩色の塩化ビニル樹脂塗膜中へは, 色調の関係で通常1PHR程度のチタン白しか配合できず, 量が少ないために塗膜の耐候性が劣るという問題があった。そこで本報では, 濃彩色の色調を保持し, かつ塗膜の耐候性を向上させるために, 微粒子酸化チタンについて, 塗料特性および塗膜特性の点から検討した。
    その結果, 微粒子酸化チタンを使用すれば, 5PHR配合してもチタン白1PHR配合品と同一の色調を出すことが可能であり, 塗料特性および塗膜特性の点でも実用上問題のないことがわかった。また, 微粒子酸化チタンを5PHR含む塗膜は, チタン白を1PHR含む塗膜に比べて, 紫外線による塩化ビニル樹脂の分解が抑制され, 変色も進行しにくいという点で耐候性に優れていることがわかった。
  • 高橋 一暢, 重松 満, 大八木 義彦
    1986 年 59 巻 7 号 p. 410-415
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    船底防汚塗料中の金属成分 (銅, 亜鉛およびスズ) を定量する際, 防汚塗料の湿式分解に用いる種々の酸の組み合わせと金属成分の回収率とについて検討した。銅, 亜鉛はいずれの湿式分解法においても, ほぼ94~103%の回収率を示しているのに対して, スズは硝酸, 硝酸→過酸化水素水による湿式分解において回収率が10%前後となり著しく低い回収率を示した。この事は, 硝酸によってスズが不溶性のメタスズ酸を生成するためであると考えられる。また酸の組み合わせとして塩酸-硝酸 (3 : 1) の方が硝酸-硫酸 (3 : 1) の場合よりもスズの回収率が良い結果を示した。すなわち, 防汚塗料中の銅, 亜鉛のみの定量分析のために行う湿式分解においては, 使用する酸の組み合わせは大きな問題とならないが, スズの場合は酸の組み合わせが重要な問題となる事が明らかとなり, 防汚塗料中の金属成分の総括的な分析法としては, 塩酸-硝酸 (3 : 1) を湿式分解に用いる事が, 硝酸-硫酸 (3 : 1) よりも優れていることが明らかとなった。
  • 矢谷 真一
    1986 年 59 巻 7 号 p. 416-426
    発行日: 1986/07/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
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