色材協会誌
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60 巻, 11 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 大藪 泰, 阿佐見 徹, 小越 昇
    1987 年 60 巻 11 号 p. 577-582
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    漆の改質剤あるいは増量剤としての混合物を目的に, 新規トリアジン樹脂を合成し, 漆/トリアジン樹脂混合塗膜の物性を中心に検討した。結果をまとめると次のようである。
    (1) 漆との混合状態は良好で, 貯蔵中の分離・増粘・ゲル化などは認められなかった。
    (2) 応力~ひずみ性や室温の弾性率は低下が認められなかったが, トリアジン樹脂含有量の増加にともない, 高温弾性率やガラス転移温度は低下した。しかし実用上問題のない程度であり, 増量剤的効果が期待できた。
    (3) トリアジン樹脂含有量の増加にともない, 漆膜の透明性は向上し, そのため色漆膜の発色性の向上など期待できた。
    以上の結果より, 今回合成したトリアジン樹脂は漆との相容性が良好で, 漆の改質剤や増量剤として有効であると考えられた。
  • 俵 宏憲
    1987 年 60 巻 11 号 p. 583-590
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    塗料の製造工程における顔料分散において, 分散評価はグラインドゲージによる粒度, ペーパークロマトグラフでのRf値, 着色力, 光沢, 隠ぺい率, 粒度分布等の方法がある。
    このうち, 分散評価方法として粒度分布測定を取り上げ, 粒度分布によって品質が左右されることに注目し, 品質不良 (分散性不良というクレーム) という事態の問題解決の手段とする。
    この原因と対策について知見を得ることを目的として数種の分散機を用いて, それらの分散過程における粒度分布を画像解析装置を活用して測定すると共に, その結果を従来の分散評価方法と比較して, 顔料分散におよぼす粒度分布の影響を調べた。
    また, 実験室分散機と製造ライン分散機とで, 同一分散を得るために粒度分布パターンで追跡することによって好結果が得られた。
  • 中井 昇, 磯崎 理, 岩沢 直純
    1987 年 60 巻 11 号 p. 591-596
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    無機ポリマーは, 有機ポリマーに比べて耐熱性・耐炎性等に優れているが, 有機ポリマーに比べて硬く脆い欠点がある。そのため, 有機ポリマーとの混合系が検討されているが, この手法では無機ポリマーの長所を大幅に低下させる。
    無機ポリマーの特長を低下させることなく有機ポリマーとの複合化を可能にすべく, 本報では, ヘプタン可溶型のポリアルコキシシロキサンを分散安定剤とし, アクリルポリマーを分散粒子とした非水系ポリマーディスパーション (NAD) を合成し, その性質について検討を行った。
    分散安定剤に用いたポリアルコキシシロキサン単独の場合, 5μm以上の膜厚で割れを生じたのに対し, 得られた上記NADは, 500μmの膜厚でも割れを生せず良好な造膜性を示した。
    また, アクリルポリマーとポリアルコキシシロキサンの混合系に比べて, 硬化性・耐熱性・耐炎性および水蒸気透過性がきわめて良好であった。
    この手法により無機ポリマーと有機ポリマーとの特長を兼ね備えた無機・有機ポリマーの複合体が得られた。
  • (I) HMDI系ポリイソシアネートの反応性
    中道 敏彦, 石戸谷 昌洋
    1987 年 60 巻 11 号 p. 597-602
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    二液型ウレタン塗料におけるカルボン酸およびジブチルスズジラウレート (DBTDL) の触媒効果について検討した。
    塗膜状態でのアクリルポリオールとヘキサメチレンジイソシアネートのビュレット化合物との硬化反応は2次式に従い, 反応速度定数の温度依存性はアレニウス式に従った。樹脂カルボン酸の反応速度への寄与は大きく, イソシアネート基に対する強い触媒作用が明らかとなった。一方, カルボン酸を含有しない系にDBTDLを添加すると著しい触媒効果を示すが, カルボン酸を含有する系では, その添加量に対する反応速度の増加は少なく, 両触媒を併用した時の相乗効果はわずかなものであった。
  • 井原 辰彦, 伊藤 征司郎, 鈴木 充, 木卜 光夫
    1987 年 60 巻 11 号 p. 603-606
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    PVDによって昇華性の銅フタロシアニンブルーを球状の単分散ポリスチレン表面に複覆する手法で単分散銅フタロシアニン顔料の調製を試みた。
    その結果, ポリスチレン表面への銅フタロシアニンの析出は, 窒素流量および処理容器内の圧力の影響を受け, 窒素流量を10ml/min以下とした場合は, 比較的高い圧力 (2 Torr~2.5 Torr 程度) 下で処理した方が析出しやすく, 20ml/minとした場合は, 1.5 Torr程度の比較的低圧力下で処理した方が析出しやすかった。SEMの観察結果より, 銅フタロシアニン蒸気は, 昇華ヒーターからの熱によって適度に溶融状態となったポリスチレン表面に取り込まれながら結晶成長し, 複合化したものと推察した。
  • 静電容量測定による塗装塗膜の透湿速度の評価
    信藤 健一
    1987 年 60 巻 11 号 p. 607-613
    発行日: 1987/11/20
    公開日: 2012/11/20
    ジャーナル フリー
    現実に被塗物に塗装された塗膜にできるだけ近い形で塗膜の吸湿過程を測定するため, 塗装した電極を水中に浸せきし, そのインピーダンスの変化から容量成分の時間的変化を求め, Brasherの式を用いて含水量に換算し, これらのデーターから溶解度係数, 拡散係数, および透過係数を求めるシステムを作成した。
    イソシアネート硬化型のエポキシ樹脂塗料を試料として用い, 焼き付け温度を140℃から200℃まで変化させ, 各々20℃から80℃まで10℃おきに測定を行った。この中で最も低温で焼きつけた試料については, Arrheniusプロットで良好な直線関係が得られたが, 測定温度内にガラス転移点を持つと思われる試料については屈曲点を示し, 屈曲点以下の温度では測定結果が大きくばらついた。
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