種々の洗浄溶液中における, カーボンブラックの親水性繊維 (木綿布) および疎水性繊維 (ナイロン布) への再付着を, 界面電気的に検討した。
ドデシル硫酸ナトリウム (SDS) やカルボキシメチルセルロースニナトリウム塩 (CMC) 溶液中におけるカーボンブラックの再付着度は小さく, 繊維の種類および洗浄剤濃度に依存しなかった。一方, 種々のビルダー溶液中におけるカーボンブラックの再付着度は, いずれの繊維の場合もビルダー濃度の増加にともない増加した。また, SDSやCMCの濃度が増加すると, カーボンブラックおよび繊維のジータ電位の絶対値も増加した。
以上の結果から, カーボンブラックの繊維への再付着は, その電気二重層の厚さ, ならびに分散性と密接に関係することがわかった。さらに, 再付着度を低下させるためには, カーボンブラック/繊維間のポテンシャルエネルギーの極大値 (
VT, max) を300kT以上にするか, あるいはカーボンブラック同士間の
VT, maxを90以上にすると有効であることがわかった。
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