α-Fe
2O
3は, 一般的な合成法によると微粉体として生成する。アルカリ水溶液を母液としてα-FeOOHを分散させ水熱処理を行うと, 160~280℃においてα-Fe
2O
3の六角薄板状単結晶の生成することを見出した。このα-Fe
2O
3結晶の生成領域および粒子径に影響をおよぼす諸要因について検討を行った。
(1) α-FeOOHは水熱処理160~280℃において転移しα-Fe
2O
3結晶となるが, この転移点は母液のアルカリ水溶液濃度によって支配され, 濃度が高くなるほど転移点は低くなる。
(2) 生成するα-Fe
2O
3の結晶径は, 原料α-FeOOHの粒子径が大きくなるほど, また水熱処理母液のアルカリ水溶液濃度が高くなるほど大きく成長する。
(3) 原料α-FeOOHが加圧, 高密度錠剤として水熱処理を行うと, あたかも粒子径の大きいα-FeOOHのように作用し, 大きいα-Fe
2O
3結晶が生成する。
(4) α-FeOOHの水熱処理によるα-Fe
2O
3結晶の生成反応は, アルカリ熱水溶液が溶媒として作用する溶解, 析出に基づくものと推論された。
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