カップ型の回転霧化式静電塗装機では, 霧化頭の後方から空気を噴射することによってパターンが調整される。パターンの調整機構を明らかにするために, パターン調整用空気 (シェーピングエア) と塗粒の流れを, X型熱線風速計とレーザ速度計を用いて解析した。得られた結果をまとめると,
(1) 霧化頭から遠心力によって半径方向に放出される塗粒の一部は, ほぼ霧化頭の回転軸方向に流れるパターン調整用空気の中を飛行して被塗装面に塗着する。しかし, 塗粒の大部分は, 霧化頭の近傍でパターン調整用空気の流れを貫通し, 空気の流れの外周りを被塗装面に向って飛行し, 塗着する。このために, パターンは円環状になる。
(2) パターン調整用空気の流量 (噴射量) が増加するのに伴って, 空気の流速, および空気の流れの中を飛行する塗粒の速度は増加するが, 空気の流れの外周りを飛行する塗粒の速度はほとんど変化しない。
(3) パターン調整用空気の流量が増加するのに伴って, 塗粒が空気の流れを貫通するまでの間の塗粒速度の回転軸方向成分が増加するために, パターンの幅が狭くなる。
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