ピリジンまたはベンゾピラン環を含むホルミル誘導体と
NN,
NN-ジメチルアニリン誘導体との縮合反応により得られるトリアリールメタンを酢酸中, 四酢酸鉛で酸化することにより, 新規なトリアリールメタン系色素が得られた。これら色素のλ
maxはトリフェニルメタン系色素母体に比べいずれも10~20nm赤色移動し, また, その吸収スペクトルにおいて, トリフェニルメタン系色素の特徴である “x-band”, “y-band” を含むことが, ラマンスペクトルより明らかになった。また, PPP-CI計算によって得られる最も長波長側のλ
maxの値と実測値とのあいだには良い相関が認められた。さらに, この系で近赤外領域にλ
maxを持ついくつかの色素がMO計算から示された。トリアリールメタンの光酸化反応における量子収率を測定した結果, エタノール中ではトリフェニルメタンよりもベンゾチオピラン系で量子収率が大きくなり, クロロホルム中では逆に小さくなることを見い出した。また, クロロホルム中での量子収率がエタノール中での値よりも10~40倍の値 (0.116~0.241) を示した。
抄録全体を表示