白色のアルミニウム陽極酸化皮膜を得ることを目的として, 陽極酸化皮膜を形成させたアルミニウム板を水和酸化チタンのヒドロゾル中で二次電解し, 電気泳動によって皮膜の細孔中に水和酸化チタンのコロイド粒子を析出させて着色する方法について検討した。
その結果, 硫酸浴を用いて陽極酸化して得た皮膜でも, このものを水和酸化チタンのヒドロゾル中で二次電解すると白色に着色するが, 白さが十分ではなく, より白色度の強い, 均一に着色した皮膜を得るには, 硫酸浴を用いて皮膜を形成させたのち, さらに, これをリン酸浴中で陽極酸化して得た二重皮膜に対して電気泳動させる必要があった。これは, 二重皮膜の方が硫酸浴だけで陽極酸化して得た皮膜よりも皮膜の細孔径が大きく, より多くの酸化チタン (水和酸化チタン) が析出するためである。
酸化チタン粒子の皮膜中への泳動, 析出は直流電位走査法によって得た分極曲線から, -3
V~-3.5
V位で起こっていることがわかった。また, この白色皮膜は交流で電解した方がより均一な白色となるが, この場合は交流電圧走査法から, 16
V近傍がもっとも析出しやすいことがわかった。
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