自己研磨型船底防汚塗料のトリブチルスズ (TBT) 溶出速度の測定におけるASTM/EPA法とバブリング法との違いについて比較検討した。
船底防汚塗料を塗装したポリカーボネート製円筒 (塗付面積 : 200cm
2) およびFRP試験板 (塗付面積 : 140cm
2) を, 人工海水が入ったエージング水槽 (60
l, 水温 : 21~26℃) に浸せきして, 一定期間ごとに取り出し塗膜表面からのTBT溶出速度 (L. R.) を測定した。ASTM/EPA法は, 人工海水1,500m
lが入ったポリカーボネート製容器内で円筒を60±10rpmで一定時間回転して行った。バブリング法は人工海水1,000m
lが入ったビーカー内 (空気吹き込み量 : 約200m
l/min) にFRP試験板を一定時間浸せきして, 溶出したTBTを定量することで求めた。
その結果, 自己研磨型船底防汚塗料の塗膜表面から溶出するTBT溶出速度は, ASTM/EPA法がバブリング法より1.3~1.5倍高いことが明らかとなった。また, TBTの初期溶出速度は15~36μg/cm
2/dayと高い値を示したが, 定常状態におけるTBT溶出速度は1~3μg/cm
2/dayとなることがわかった。
抄録全体を表示