ヘキサメチルシクロトリシロキサン (D
3) を化学気相蒸着法 (CVD) を用いて80℃で各種顔料に蒸着させた。D
3は顔料の触媒活性によって重合し, ポリジメチルシロキサン (PDMS) が顔料粒子の表面に形成された。
CVD反応中の重量増加挙動によって顔料は2つのタイプに分類できた。
タイプIの顔料は初期に重量増加があるが, それ以上反応時間を延ばしても重量増加はなく乾燥状態で処理することができた。一方, タイプIIの顔料は反応時間とともに重量増加をつづけ, 最終的には油状物を生成した。それぞれのタイプの顔料は以下のとうりであった。
タイプI : 群青, 亜鉛華, 雲母, 黒色酸化鉄
タイプII : 紺青, タルク, カオリン, 赤色酸化鉄など
タイプIIIの顔料上に生成した油状物は容易に抽出され, GPCや熱分解GCによって分子量約4万の直鎖状PDMSであることがわかった。
一方, 雲母を除くタイプIの顔料上にできるPDMSはクロロホルムで抽出されず, また, 熱分解においても環状シロキサンを生成せずメタンを生成した。このことから, タイプIの顔料では表面とPDMSの間に強い相互作用があると思われる。
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