リン酸, 硫酸, 過酸化水素水の混合溶液に硫酸アルミニウムを添加した電解浴を用いて, チタンの陽極酸化を火花発生電圧以上の電圧で行い, μmオーダーの厚さを有する白色の陽極酸化皮膜を得ることに成功した。この白色電解着色皮膜の生成機構はつぎのとおりである。上記の電解浴中でチタンを高電圧で陽極酸化すると, 先に生成していた絶縁性陽極酸化皮膜が, 火花放電をともなって局部的に破壊され, 孔を生じる。このとき, 局部的発熱をともない, この熱により, チタンと電解液との界面でアルミニウムが加水分解する。さらに, これと平行して皮膜と熱加水分解生成物との間で熱融着も生起する。この結果, 皮膜中にアルミニウムの酸化物 (水和物) が混在したチタンの複合陽極酸化皮膜が生成する。
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