バリウムフェライト粒子を用いた磁性塗料について, 磁性粒子の形成する凝集構造と粘弾性挙動との関係を検討した。
粒子分散系の粘弾性測定に必要な多様なひずみの印加と調和解析が可能なコーンプレート型レオメーターを製作し, これにより定常流急発進に伴う応力成長, 定常流粘性, ヒステリシスループ, 動的粘弾性を測定した。
定常流急発進に伴う応力成長のせん断速度依存性, ヒステリシスループ, 動的粘弾性の測定から, 粒子が形成する凝集構造の破壊過程がひずみの大きさ, 速度, 履歴に大きく依存し, その結果として粘弾性挙動に変化が現れることが示された。また, 動的粘弾性のひずみ依存性から, 磁性粒子の形成する凝集構造が粘性よりも弾性に大きく影響することがわかった。
凝集構造の生成過程においては, ストレスオーバーシュートの静置時間依存性がCartwrightの式によって量的に表わされることが確認でぎた。また, 定常流特性の静置時間依存性では静置時間が長くなるのに伴って降伏値が大きくなり, 系全体におよぶ磁性粒子の形成する三次元網目構造の成長の様子がうかがえた。
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