溶融亜鉛メッキ鋼板 (HDG板) の表面処理剤として, 無機超微粒子 (100nm以下) 含有アクリル複合樹脂 (複合樹脂) を適用し, 鋼板に対する耐食性, 塗装下地性について検討した。皮膜厚さ1~0μmの複合樹脂被覆鋼板およびアミノアルキド塗料塗装鋼板の塩水噴霧試験, 乾湿サイクル腐食試験, 沸水浸せきによる湿潤試験の結果, SiO
2複合樹脂皮膜は, 他の無機超微粒子のA1
2O
3, BaSO
4, CaCO
3, Fe
2O
3, TiO
2, ZnO複合樹脂皮膜に比べて, 耐食性および付着性とも著しい効果を示すことが判明した。
このSiO
2超微粒子は, その製造履歴, 粒子の比表面積, 表面層の水酸基 (≡SiOH) が耐食性に関係し, 乾式法より湿式法で製造された粒子, 比表面積が大きく水酸基の多い, 親水性の粒子が有効であった。また, 複合樹脂皮膜の膜厚が厚いほど, 耐食性は良好であった。
クロメート処理HDG板に対する複合樹脂皮膜の効果は, クロメート皮膜との相乗効果によって, 上記の皮膜処理HDG板に比べて, いずれの複合樹脂皮膜とも, その耐食性が塩水噴霧試験で数十倍に達し, この系でもSiO
2複合樹脂皮膜が効果的であった。SiO
2微粒子の種類, 膜厚の効果は, 上記の皮膜処理HDG板と同じ傾向を示した。
これらの結果から, SiO
2複合樹脂皮膜はHDG板との付着性が良く, HDG板の塗膜下腐食を抑制する効果を有することが予想される。
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