無極性表面をもつ銅フタロシアニンブルー顔料をとりあげ, 末端基にアミノ基をもつ塩基性フタロシアニン誘導体とスルフォン基をもつ酸性誘導体を処理剤として, 顔料表面を酸性から塩基性に変化させ, 油変性の度合いの異なるアルキッド樹脂との相互作用を樹脂吸着量, 吸着樹脂の分子量の面から検討した。
総吸着量は, 酸性処理リッチな顔料表面から塩基性処理リッチな表面へと増加しているが, 樹脂の油変性の違いにより傾向が異なった。短油アルキッドでは, 塩基性になるにしたがい直線的に吸着量が増加しているのに対し, 長油アルキッドでは, 塩基性リッチのある点から急激に吸着量が増加した。
吸着樹脂の分子量は, 低分子と高分子に明確にわかれ, 樹脂種による違いにも差がでた。短油アルキッドでは酸性表面で低分子量の吸着量が圧倒的に多く, 塩基性表面になるにしたがい, 高分子量の吸着が増加した。長油アルキッドでは, 塩基性の比率が増加するにしたがい, 低分子量の吸着が減少し高分子量の吸着が支配的になった。
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