漆をモデルとした酵素反応形塗料の開発において, ラッカーゼとウルシオール類似物をエマルション化するたあの第3成分として, 4種の化工でんぷんを選んだ。
これらの化工でんぷんを使い, ヒイロタケの培養液より生産したラッカーゼと4- {9' (Z), 12' (Z) -オクタデカジエニル} カテコールをエマルション化して, 20℃80%RHにて24時間乾燥させた。これらの膜に対して乾燥時間, 動的粘弾性, 光沢, 透過色を測定した。
主な結果は次のようである。
1) 化工でんぷんによるエマルション化は充分であった。
2) 化工でんぷんのリン酸基やカルバモイル基は初期の硬化に影響し, これらの基が増加するにともない乾燥時間が短くなった。
3) これらの膜は一般的な漆膜と同じような理想的な粘弾性を示し, 漆膜に比べ高光沢でやや黄色みを帯びていた。
以上の結果から, 天然漆の成分を含まない酵素反応形塗料を開発することができた。
抄録全体を表示