25℃~95℃の所定温度におけるZnSO
4水溶液とNa
2HPO
4水溶液との液相反応で生成したリン酸亜鉛の組成と生成条件を検討し, さらに得られたリン酸亜鉛ナトリウムの加熱変化をしらべた。
その結果, 得られたリン酸亜鉛の組成は調製時のNa
2HPO
4水溶液とZnSO
4水溶液との配合モル濃度比に依存した。すなわち, 合成温度25℃では, モル濃度比2以下の場合にZn
3 (PO
4)
2・4H
2Oが生成した。一方, モル濃度比2以上の場合にはZnSO
4水溶液の濃度0.2mol・dm
-3以下の条件でNaZnPO
4・H
2Oが生成し, 0.3mol・dm
-3以上の条件でNa
6Zn
6 (PO
4)
6・8H
2Oが生成した。さらに合成温度を高くするにともなって, Zn
3 (PO
4)
2・4H
2Oが生成した一部の条件では未知物質が生成し, NaZnPO
4・H
2OはNaZnPO
4に変化し, Na
6Zn
6 (PO
4)
6・8H
2Oは60℃までの合成温度で生成することがわかった。
NaZnPO
4は加熱によって886℃でγ-NaZnPO
4に転移した。しかしこのγ-NaZnPO
4は冷却によって845℃でα-NaZnPO
4に可逆的に転移した。NaZnPO
4・H
2Oは176℃で0.5モル分の結晶水を脱水してNaZnPO
4・1/2H
2Oになり, さらに326℃で脱水してα-NaZnPO
4になった。得られたα-NaZnPO
4は, NaZnPO
4の加熱挙動と同様に, 885℃でγ-NaZnPO
4に転移した。Na
6Zn
6 (PO
4)
6・8H
2Oは237℃で脱水してα-NaZnPO
4になり, さらにα-NaZnPO
4は883℃でγ-NaZnPO
4に転移した。
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