ポリエチレン被覆鋼管の被覆下地処理としてシランカップリング剤の検討を行った。アミノ系シランカップリング剤, エポキシ系シランカップリング剤の各種濃度の水溶液に鋼板を浸漬する方法で下地処理を行った。アミノシラン, エポキシシランともほぼ同等の耐陰極剥離性を有している。もっとも陰極剥離が抑制できたのは, シランカップリング剤水溶液濃度が, 0.02~0.05Mの時であった。
XPSで, シランカップリング処理をした鋼板表面を観察し, 溶液濃度とSiの表面吸着量の関係を求めた。溶液濃度が0.02~0.05Mの時, 最初のSi吸着量のピークがあり, その後0.1Mを超えると単調に増加する。陰極剥離がもっとも抑制された濃度は, Si吸着量の最初のピークに一致した。この現象を, シランカップリング剤の鋼板表面への吸着と自己縮合による高分子化および高分子化による吸着障害という仮定を置いて定性的に説明した。
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