フタロシアニンの部分塩素化がフタロシアニン顔料を充填した着色プラスチック材の成形収縮にどのような作用を及ぼすか検討した。フタロシアニンが反応媒体に溶解した反応系として, 塩化アルミニウムと食塩の溶融塩中での塩素化 (塩化アルミ法) と反応媒体中に懸濁した反応系としてトリクロロベンゼン中での塩素化 (TCB法) を行い, その生成物の塩素化度と着色プラスチック材の成形収縮との相関関係について調べた。その結果, 塩化アルミ法では最終的にベンゼン環上のほぼ全水素原子 (16個近く) が塩素に置換され, その過程で得られる, およそ2-14置換体の部分塩素化フタロシアニンが着色プラスチック材の成形収縮を誘起しないことがわかった。一方, TCB法ではほぼ10置換体で反応が止まり, その過程で得られた部分塩素化フタロシアニンはいずれも着色プラスチック材の成形収縮を抑制しないことがわかった。
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