二酸化チタンに形成された陽イオン性フッ化炭素界面活性剤吸着層への二種類の有機化合物 (2-ナフトール+ビフェニル;2-ナフトール+1, 3-デクロルベンゼン) の吸着可溶化挙動を水溶液のpHを変えて調べた。2-ナフトール+ビフェニル系において, 2-ナフトールの吸着可溶化量はpH 7までは徐々に増加し, それ以上のpHでは急激に増えた。一方, ビフェニルの吸着可溶化は幅広いpHにおいても観察されなかった。2-ナフトール+1, 3-ジクロルベンゼン系では2-ナフトールの吸着挙動は2-ナフトール+ビフェニル系での2-ナフトールと同様な傾向を示したが, 1, 3-ジクロルベンゼンの吸着可溶化量はpH3から10で徐々に増加した。高いpHでの2-ナフトールの吸着可溶化量の増大は負に帯電したTiO
2と界面活性剤との相互作用の増加ならびに脱水素化2-ナフトールと陽イオン性界面活性剤との相互作用に起因する。2-ナフトール+1, 3-ジクロルベンゼン系での吸着可溶化サイトはアドミセル分配係数から議論された。
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