本研究では, 両親媒性スピロピラン (1', 3-ジヒドロ-3', 3'-ジメチル-6-ニトロ-1'-オクタデシル-8- (ドコサノイルオキシメチル) スピロ [2H-1-ベンゾピラン.2, 2'- (2H) -インドール]) のラングミュアープロジェット膜 (LB膜) の構造と光反応に関して検討を行った。下相水温度13℃で圧縮したラングミュア膜 (L膜) を30℃に昇温してから固体基板に転写することにより, 基板全面に連続したLB膜を作製することができた。このLB膜に紫外光照射を行うと光誘起J会合体形成が起こったが, 膜形態に大きな変化は見られなかった。さらに, フォトマスクを通してLB膜に紫外光照射を行うことにより, 幅5μmのJ会合体の細線を形成できることが明らかとなった。以上の結果は, 30℃で等温的にLB膜を作製すると, 分子はドメインとしてのみ転写され, ドメイン間には分子が存在せず, かつ光誘起」会合体形成過程では膜形態が大きく変化することと対照的である。
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