色材協会誌
Online ISSN : 1883-2199
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82 巻, 10 号
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技術論文
ノート
  • 引間 貴子, 野々村 美宗
    2009 年 82 巻 10 号 p. 443-446
    発行日: 2009/10/20
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    羊毛,毛髪,羽毛などの動物繊維の主成分はケラチンと呼ばれる繊維状タンパク質である。われわれはこれら三種類の動物繊維を粉末化する新たな方法を開発し,二相加水分解法と名づけた。これは,オクタノール/水酸化ナトリウム水溶液二相系に浸せきした原毛を,超音波照射によって短時間で微細化するものである。系を中~酸性にすると,粒径数~数百μmのパウダーが得られた。元素分析と赤外吸収スペクトルの結果から一部の硫黄成分は失われるが,その程度は従来法より軽微であることが確認された。この方法は,ケラチンを用いた化粧品,細胞足場材料,ドラックデリバリーシステム用材料の開発に有用である。
解説
  • 吉田 博久, 山田 武
    2009 年 82 巻 10 号 p. 447-453
    発行日: 2009/10/20
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
  • 杉島 正見
    2009 年 82 巻 10 号 p. 454-460
    発行日: 2009/10/20
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    屋外塗装で使用される塗料の水性化はVOC排出削減対策としては重要であるが,基材への浸透性が求められる屋根などの無機素材,防食性の必要な鉄・金属基材に塗装される塗料の水性化は進んでいない。
    水性塗料の耐水性向上・高耐候化技術の一つがカルボニル/ヒドラジド間の反応によるエマルションの粒子間架橋技術で,これにより造膜時の脆弱さを架橋で補い耐水性,塗膜物性を改良することができる。しかし,この架橋は一方ではエマルション粒子同士の十分な融合を阻害することから,水遮断性が必要な防食塗膜への適用は難しい。このため一般的には,防食塗膜への適用には2液型のウレタン架橋エマルションまたは造膜性を高めた新規エマルションを用いた上塗り塗料が好適である。本稿ではさらに,水性化が困難とされた柔軟性塗膜の低汚染化技術と伝統的な無機造膜性を活かした塗布型漆喰についても解説する。
  • 宇山 浩
    2009 年 82 巻 10 号 p. 461-467
    発行日: 2009/10/20
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    循環型社会構築に向けたバイオマスプラスチックの開発を目的とする植物油脂を基盤とした高分子材料について述べる。植物油脂由来のエポキシ樹脂にバイオファイバーを複合化することにより,熱的性質と機械的強度に優れた複合材料を開発した。ロジンやテルペンの誘導体を複合化した場合には柔軟性に優れた複合材料が得られた。また,植物油脂を核とする分岐状ポリ乳酸を開発し,植物ポリウレタンやポリ乳酸の添加剤へ応用した。
ナノテクノロジー講座(第VII講)
  • 兵野 篤, 米澤 徹
    2009 年 82 巻 10 号 p. 468-474
    発行日: 2009/10/20
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    金属ナノ粒子は,そのサイズに依存して発現する局在表面プラズモン共鳴や触媒特性などの特徴によって,近年新規な工業材料として注目されている。そして単分散性に優れ,分散安定な粒子を生成するさまざまな方法が開発されている。とくに湿式法ではサイズ・形状の制御が可能である。金・銀・銅粒子は局在表面プラズモン共鳴によって可視光での発色性を有し,色材へ応用されている。サイズによる色調の変化や表面増強ラマン散乱などの特性は迅速・高感度なセンシングへ応用されている。また,特異な触媒活性はグリーンケミストリーへの応用展開が期待されている。
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