色材協会誌
Online ISSN : 1883-2199
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82 巻, 8 号
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研究論文
  • 長尾 幸徳, 梶川 美保子, 小澤 幸三, 有光 晃二, 浦野 年由
    2009 年 82 巻 8 号 p. 338-344
    発行日: 2009/08/20
    公開日: 2009/11/20
    ジャーナル フリー
    近年,青色半導体レーザー(発振波長は405 nm)が実用化され,これは従来の半導体レーザーのなかで最短波長であり,記録密度を大きくすることができるので,ダイレクト(CTP)製版システム,PS版,次世代ディスク等へ応用が期待され実用化されているものもある。それにともない405 nmに対する感光能力を有する増感材料がさらに求められている。本研究では,360 nm付近に吸収帯をもち,高い増感能をもつと予想されるp-テルフェニル誘導体およびベンゾフェノン誘導体の合成を検討し,さらに合成した色素を用いて感光性樹脂サンプルを作製し,その分光感度を測定して青色半導体レーザー用の増感能を検討した。p-テルフェニル誘導体においては210~390 nmに光吸収を示したが400 nm付近における光吸収がないため,この波長での増感能を示さなかった。一方ベンゾフェノン誘導体においては,すべての誘導体で260~440 nmに吸収を示し,この波長における増感能も示し,青色半導体レーザー用の増感能を示した。とくにベンゾフェノン誘導体のジメチルアミノ基もしくはオキシムエステル基を有する化合物において非常に良好な感度を示し,青色半導体レーザー用増感色素として優れていることが示された。
解説
  • 荻野 晋一
    2009 年 82 巻 8 号 p. 345-350
    発行日: 2009/08/20
    公開日: 2009/11/20
    ジャーナル フリー
    アクリル/エポキシ樹脂の混合溶液から,一回の塗装によって,塗膜表面でアクリル樹脂濃度が高く,基材界面でエポキシ樹脂濃度が高いような成分傾斜構造を得ることができた。この成分傾斜構造は樹脂間のSP値差や併用する溶媒種の選定によって変化させることができ,塗膜表裏面における成分濃度差も制御可能であることがわかった。成分傾斜構造はATR-FTIRおよび共焦点レーザー顕微鏡によって評価した。
  • 能木 雅也, 矢野 浩之
    2009 年 82 巻 8 号 p. 351-356
    発行日: 2009/08/20
    公開日: 2009/11/20
    ジャーナル フリー
    古代より人類は,石板や粘土,羊皮紙などの媒体を用いて情報の保存・伝達を行ってきた。その中において最も重要な役割を果たしてきた媒体が「紙」である。植物繊維をシート状に加工した紙は,羅針盤,火薬とともに古代,中国においてなされた3大発明の一つで,その発明は情報の伝達,管理に大きな変化をもたらした。19世紀の中頃に木材からの紙の大量製造が可能になると,紙は新聞や書籍といった形態で大衆社会における情報伝達媒体の主役を担ってきた。しかし20世紀に入りテレビやパソコンが出現し,21世紀においては電子ペーパーやフレキシブルディスプレイ,電子タグなどが情報伝達の一翼を担うと言われている。そして,これまで人類が用いてきた紙がナノエレメント化したことで“21世紀の紙:透明ナノファイバーペーパー”と生まれ変わった。このような材料は,ロールトゥーロールプロセスで製造されるディスプレイや太陽電池などエレクトロニクスデバイス透明基板として利用できるため,21世紀も紙は人類にとって最も身近な材料として活躍し続けるであろう。
解説
ナノテクノロジー講座(第V講)
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