近年,環境保全の点からVOCなど有機溶媒の使用が制限されるようになり,それら工業溶媒の代替として,超臨界CO
2が多くの注目を浴びている。超臨界CO
2は,無毒,不燃性,環境適合性,低コスト,豊富に存在するといったCO
2のメリットに,超臨界流体の特性(溶解能力の可変性,高い物質輸送特性,低表面張力など)を併せもつ新規溶媒であり,超臨界CO
2を利用した化学工業プロセスの研究開発が急速に進められている。しかし,残念ながら,超臨界CO
2は,高分子や不揮発性の極性物質を溶解する能力は低い。これが,抽出分離,反応,材料製造などに対する超臨界CO
2の工業的応用の幅をかなり狭めている。この問題点を克服する手段の一つとして,分散相の形成がある。本解説では,scCO
2中へ,水を中心とした分散相を形成させるための界面活性剤分子の設計方法や,構築された分散系の物性および応用について紹介する。
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