色材協会誌
Online ISSN : 1883-2199
Print ISSN : 0010-180X
ISSN-L : 0010-180X
83 巻, 5 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
研究論文
  • 辻元 英孝, 八木 繁幸, 井川 茂, 飛鳥 穂高, 前田 壮志, 中澄 博行, 櫻井 芳昭
    2010 年 83 巻 5 号 p. 207-214
    発行日: 2010/05/20
    公開日: 2010/08/20
    ジャーナル フリー
    溶液塗布法による高分子電界発光素子(PLED)の開発を目的として,りん光性ビスシクロメタル化イリジウム(III)錯体,ビス[2-(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ピリジナト-N,C2’]イリジウム(III)(2,2,6,6-テトラメチルヘプタン-3,5-ジオナート-O,O)(1)およびビス[2-(ジベンゾ[b,d]フラン-4-イル)キノリナト-N,C3’]イリジウム(III)[1,3-ビス(3,4-ジブトキシフェニル)プロパン-1,3-ジオナート-O,O](2)を新規合成した。錯体1はトルエン溶液中において,発光極大波長475 nmおよび507 nm,発光量子収率0.91を有する青緑色発光を示した。また,錯体2は,発光極大波長610 nm,発光量子収率0.77を有する赤色発光を示した。これらのりん光材料を発光ドーパントとし,ポリビニルカルバゾール(PVCz)をホストポリマーとするPLEDを作製した(素子構造:ITO(150 nm)/PEDOT:PSS(40 nm)/PVCz:PBD:1(or 2)(100 nm)/CsF(1.0 nm)/Al(250 nm))。錯体1および錯体2を発光ドーパントとするPLEDは,それぞれ溶液中と同様な青緑色および赤色の電界発光を示した。これらの結果から,共ドーパントして錯体1と錯体2を組み合わせることによって白色発光が得られる可能性が示された。実際,ポリビニルカルバゾール層中に錯体1と錯体2の両方を含むPLEDを作製し組成比を調整したところ,PVCz:PBD:12=10:3.0:1.2:0.012(wt/wt/wt/wt)の比においてCIE色度座標(0.364,0.378)(@13 V)の白色発光を得た。この白色PLEDは,最大発光輝度4200 cd m−2(@13 V),最大電流効率4.9 cd A−1(@7.0 V),最大電力効率2.4 lm W−1(@6.0 V),最大外部量子効率2.4%(@7.0 V)の素子特性を示した。
解説
  • 内藤 宏行
    2010 年 83 巻 5 号 p. 215-221
    発行日: 2010/05/20
    公開日: 2010/08/20
    ジャーナル フリー
    グラビアインキにおける顔料分散を考えるうえで,グラビア印刷,包装フィルムといった関係分野の知識は必須であり,単に顔料を樹脂中に均一に分散すればよいといったわけではない。グラビアインキは印刷して使用されるため各種印刷適性や被膜物性,後加工適性が必要であり,インキ製造においてもこれらに留意する必要がある。分散安定化においては適切な分散条件,酸塩基の概念に基づく吸着,そして分散剤使用による立体障害効果が重要である。
  • ――耐熱性評価の一方法――
    小澤 丈夫
    2010 年 83 巻 5 号 p. 222-232
    発行日: 2010/05/20
    公開日: 2010/08/20
    ジャーナル フリー
    高分子絶縁材料の耐熱性試験法の歴史を簡単に述べ,そのモデルと基本的な考え方を解説した。この試験法は,材料の特性である質量や絶縁破壊電圧などの劣化による変化を観測して検証され,応用範囲の広さと有用性とが示された。数種のワニスでは,劣化が拡散律速の機構で進行する。上述の考え方は非定温条件で劣化が進行している場合にも適用できるよう新しい概念である“一般化時間”が導入され,実験的検証により,有用性が実証された。さらに,一般化時間による“実験母曲線”が“余寿命”推定などにも使え,有用である。この非定温速度論から定速加熱の熱分析の解析法が導かれる。従来法は長い試験時間を要するからいくつかの短時間試験法が提案されているが,非定温速度論の立場から批判的に紹介されている。
ナノテクノロジー講座(第XI講)
feedback
Top