色材協会誌
Online ISSN : 1883-2199
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83 巻, 9 号
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研究論文
  • 新規フルオロアルキル基含有ビニルトリメトキシシランオリゴマー-トリ-n-ブチル-[(3-トリメトキシシリル)プロピル]ホスホニウムクロリドシリカナノコンポジットの超親水性および撥油性におけるスイッチング挙動
    沢田 英夫, 岡田 良隆, 後藤 勇貴, 福井 孝之, 渋川 聡哉, 小玉 春, 杉矢 正
    2010 年 83 巻 9 号 p. 368-373
    発行日: 2010/09/20
    公開日: 2010/12/20
    ジャーナル フリー
    新しいタイプのフルオロアルキル基含有ビニルトリメトキシシランオリゴマー-イオン液体シリカナノコンポジットをリン系イオン液体:トリ-n-ブチル-[(3-トリメトキシシリル)プロピル]ホスホニウムクロリド存在下,対応するオリゴマーのアルカリ性条件下におけるゾル-ゲル反応により調製した。このようにして得られたこれら含フッ素ナノコンポジットはガラスの表面改質へ応用され,改質されたガラス表面はナノコンポジット中のフルオロアルキル基に起因した高い撥油性を示すことができた。興味深いことに,この改質されたガラス表面は,その環境が空気雰囲気から水雰囲気下に変化するにつれ,ナノコンポジット中のフルオロアルキル基とイオン液体セグメント間におけるFLIP-FLOP運動により,親水性を示すカチオン性イオン液体セグメントに起因した超親水性を示すことがわかった。
ノート
  • 西村 直記, 角 和樹, 杉本 将治, 本間 英夫, 香西 博明
    2010 年 83 巻 9 号 p. 374-377
    発行日: 2010/09/20
    公開日: 2010/12/20
    ジャーナル フリー
    本研究では,光応答性の部位であるスチルベン構造を有するモノマーとジクロロジフェニルシランとの共重合でケイ素ポリマーの合成を行った。得られたポリマーは,数平均分子量(Mn)11000,重量平均分子量(Mw)19800であり,分子量分布は1.8であった。クロロホルム,トルエン,THFなどの一般的な有機溶媒に可溶であった。TG測定からポリマーの熱重量損失開始温度は,380℃付近と良好な熱安定性を示した。また,UV-visスペクトル測定から395 nm付近に吸収最大波長を確認でき,蛍光スペクトル測定からも445 nmで可視光領域での青色発光が観察できた。
解説
  • 池谷 太一
    2010 年 83 巻 9 号 p. 378-386
    発行日: 2010/09/20
    公開日: 2010/12/20
    ジャーナル フリー
    木材は長年使われ続けてきた優れた材料の一つである。強度バランスが良い,人に優しい,再生産可能な資源等さまざまな見方ができる。ここでは天然材料であり個性に富んだ美しい木目を意匠素材として活かす塗装方法について述べる。木材組織の不均一性,変化が美しい杢になること,多孔質,含水率変化による木材の変形が平滑性に与える影響,限りある木材を化粧単板にして有効活用することなどに触れる。木目を活かした家具塗装例としてオイルフィニッシュ塗装,ウレタンクローズドポア塗装,ラッカーアンティーク塗装を簡単に説明する。その後,透明で木目がよく見える木地塗りポリエステル鏡面研磨仕上げについて自動車内装部品を例に工程順に述べる。基材構成,染料および顔料着色剤,不飽和ポリエステル樹脂塗料の特徴,ペーパー研磨,バフ研磨の摩擦熱の影響など図を交えて解説した。
最新顔料講座(第III講)
  • 服部 剛
    2010 年 83 巻 9 号 p. 387-393
    発行日: 2010/09/20
    公開日: 2010/12/20
    ジャーナル フリー
    カーボンナノチューブやフラレーンの発見以降,炭素はこの20年間で最も研究された材料であり,ナノテクノロジーを牽引してきた。これらの研究に端を発してカーボンブラックにおいても新規表面モデルの提唱や生成メカニズムの解析が進んだ。一方で,カーボンブラックは本質的にナノ構造をもった炭素そのものであり,そのことが認知される遙か昔から使われてきた。そのため,その歴史の中で市場の要求に合わせて無意識のうちにナノ構造を制御することで各用途に適応してきた。これらの成果は,ゴム,塗料,印刷インキ等の各分野の協会誌や専門書で確認することができる。ここでは,これらを踏まえ,カーボンブラックの製造方法,物理的&化学的特性,用途について解説した。また,できるだけカーボンブラック選択の指針についても加えた。このわずかな内容でカーボンブラックのすべてを紹介できるとは思ってもいないが,少しでも理解の一助となれば幸いである。
最新塗料講座(第II講)
  • 大畑 正敏
    2010 年 83 巻 9 号 p. 394-403
    発行日: 2010/09/20
    公開日: 2010/12/20
    ジャーナル フリー
    水性塗料は塗装過程における揮発性有機化合物(VOC)の削減にきわめて有効であるが,媒体である水が揮発性や極性など特異な性質を示すため塗装作業性や耐水性などに大きな問題を生じさせる。水性塗料を構成する樹脂は一般的に有機物であるため水中で分散形態をとる。その結果,立体的な視点を加えた樹脂の設計や水の存在をうまく利用した架橋系の設計が可能となる。その反面,加水分解反応に起因する水性樹脂,とくにポリエステル樹脂の安定性には注意を払わなくてはならない。本稿では,各塗料分野における水性化動向に触れたのち,代表的な水性樹脂の設計や架橋系設計に必要な視点をわれわれの開発事例に基づいて述べた。
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