溶液塗布型有機電界発光素子への応用が可能なポリマー系ホスト材料の開発を目的として,ビナフタレン系ビスカルバゾールをモノマー単位とする新規なポリマーを合成し,それを用いてりん光材料をドーパントとする高分子電界発光素子(PLED)を作製した。2,2'-ジアルコキシ-6,6'-ジブロモ-1,1'-ビナフタレンと9
H-カルバゾールとのパラジウム触媒を用いたBuchwald-Hartwig型クロスカップリング反応によって,ビナフタレン骨格へのカルバゾール基の導入に成功した。得られたビナフタレン系ビスカルバゾールに3段階を経てアクリレート重合官能基を導入することで,アクリレートモノマー(
mono-BNCz)を合成することができた。この
mono-BNCzをラジカル重合させたところ,
Mw=9680,
Mn=6580(PDI=1.47)のポリマー(
poly-BNCz)が得られた。
poly-BNCzはクロロホルムやトルエンに優れた溶解性を示し,また,溶液塗布による成膜性も良好であった。
poly-BNCzをホストポリマーに用いて緑色りん光性イリジウム錯体を発光ドーパントとするPLEDを作製したところ,電圧印加にともなってりん光材料に由来する緑色電界発光が得られた。よって,
poly-BNCzは溶液塗布法による有機電界発光素子に応用可能なホスト材料として機能することがわかった。
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