色材協会誌
Online ISSN : 1883-2199
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84 巻, 12 号
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特集/化学と色材
研究論文
  • 八木 繁幸, 大上 俊彦, 前田 壮志, 中澄 博行, 櫻井 芳昭
    2011 年 84 巻 12 号 p. 408-414
    発行日: 2011/12/20
    公開日: 2012/03/16
    ジャーナル フリー
    溶液塗布型有機電界発光素子への応用が可能なポリマー系ホスト材料の開発を目的として,ビナフタレン系ビスカルバゾールをモノマー単位とする新規なポリマーを合成し,それを用いてりん光材料をドーパントとする高分子電界発光素子(PLED)を作製した。2,2'-ジアルコキシ-6,6'-ジブロモ-1,1'-ビナフタレンと9H-カルバゾールとのパラジウム触媒を用いたBuchwald-Hartwig型クロスカップリング反応によって,ビナフタレン骨格へのカルバゾール基の導入に成功した。得られたビナフタレン系ビスカルバゾールに3段階を経てアクリレート重合官能基を導入することで,アクリレートモノマー(mono-BNCz)を合成することができた。このmono-BNCzをラジカル重合させたところ,Mw=9680,Mn=6580(PDI=1.47)のポリマー(poly-BNCz)が得られた。poly-BNCzはクロロホルムやトルエンに優れた溶解性を示し,また,溶液塗布による成膜性も良好であった。poly-BNCzをホストポリマーに用いて緑色りん光性イリジウム錯体を発光ドーパントとするPLEDを作製したところ,電圧印加にともなってりん光材料に由来する緑色電界発光が得られた。よって,poly-BNCzは溶液塗布法による有機電界発光素子に応用可能なホスト材料として機能することがわかった。
総合論文
  • 河原 崇史, 坪川 紀夫
    2011 年 84 巻 12 号 p. 415-420
    発行日: 2011/12/20
    公開日: 2012/03/16
    ジャーナル フリー
    抗菌性,生物忌避性,さらには難燃性を付与したシリカナノ粒子の調製について検討した。抗菌性シリカは粒子表面へホスホニウム塩基含有ポリマーをグラフトすることにより行った。抗菌性シリカを添加した樹脂や塗料は黄色ブドウ球菌や大腸菌に対して強力な抗菌性を示した。得られた複合体は,固定化しない抗菌性ポリマーを添加した樹脂とは異なり,24時間煮沸した後でも抗菌性を保持していた。さらに,生物忌避性のカプサイシン(Cap)を固定化したシリカは粘膜に対する刺激性を保持していたが,生物忌避性は小さかった。そこで,Capの層状複水酸化物(LDH)へのインターカレートについて検討した。その結果,CapをインターカレートしたLDHを添加したシリコーンゴムはフジツボの幼生に対して忌避性を示すことを見いだした。また,シリカ表面へのハロゲン系,およびリン系難燃剤の固定化と難燃剤固定化シリカを添加したエポキシ樹脂の難燃性についても検討した。
解説
解説
解説
  • 野々村 美宗, 小林 直人, 中川 直樹
    2011 年 84 巻 12 号 p. 435-438
    発行日: 2011/12/20
    公開日: 2012/03/16
    ジャーナル フリー
    固体粒子が液液界面や気液界面に吸着してエマルションや泡を安定化する場合がある。これまでの研究の多くは,単純な球状のエマルション/泡に関するものばかりだったが,最近では固体粒子がネットワーク構造や共連続構造などの複雑な構造も構築することが明らかになった。本解説では,固体粒子を使ってサツマイモ状エマルションや梅干し状エマルション,非球形多相エマルションを調製する方法を紹介する。これらの知見は,医薬品や食品,化粧品,塗料などの製剤や材料を開発するうえで有用である。
  • 増井 敏行, 温 都蘇, 今中 信人
    2011 年 84 巻 12 号 p. 439-443
    発行日: 2011/12/20
    公開日: 2012/03/16
    ジャーナル フリー
    無機顔料は,セラミックス,ガラス,プラスチック,塗料等の着色用色材として利用されている。しかしながら,既存の無機顔料の多くは,強い毒性を示す金属(鉛,六価クロム,カドミウム等)を含んでいる。このため,欧州のRoHS指令を筆頭に,わが国を含めた世界各国において,人体や環境に対する悪影響を懸念し,既存の顔料にとって代わるような環境に優しい新しい顔料の開発が強く求められている。無機顔料には,主として酸化物系,窒化物系,硫化物系があるが,有機物が完全に燃えてしまうような高温でも使えるのは酸化物系の無機顔料だけである。本稿では,色の三原色である,黄,赤,青それぞれに対して,人体に有毒な元素,および環境に対し負荷の大きい元素をいっさい含まない無機酸化物顔料の研究開発動向を概説する。
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