優れた耐熱性,耐湿潤性を有する偏光フィルム用途に応用可能な新規二色性色素として,チエノ[2,3-d]チアゾール骨格を有するアゾ系色素やアントラキノン系色素を5-アルキル-2-アミノチエノ[2,3-d]チアゾールから合成した。また,比較のために,対応するベンゾチアゾール系アゾ色素も5-アルキル-2-アミノベンゾチアゾールから合成した。
アゾ系色素末端にアミド結合を導入することで色素の融点が高くなり,優れた耐熱性,耐湿潤性も示した。合成した色素のネマチック液晶中の二色性比の比較では,ベンゾチアゾール系ジスアゾ色素のほうが,やや高い二色性比を示し,同族系での比較では,ともにヘキシル基を有する
4a,
8aが相対的に高い二色性比を示した。一軸延伸プロピレン中で,最大でもベンゾチアゾール系ジスアゾ色素の二色性比は2.1であった。ラビング処理ポリイミドコーティングガラス基板に二色性色素を塗布した場合,二色性比は2.5~9.4を示し,トリスアゾ系色素では,クロロベンゼン溶液で塗布することで,ラビング方向に二色性色素が配列しながら,小さな結晶塊を形成して,高い二色性比を形成していることを,AFM画像から明らかにした。
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