色材協会誌
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84 巻, 6 号
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研究論文
  • 赤木 伸生, 藤原 絵美子, 八木 繁幸, 中澄 博行
    2011 年 84 巻 6 号 p. 199-204
    発行日: 2011/06/20
    公開日: 2011/09/20
    ジャーナル フリー
    優れた耐熱性,耐湿潤性を有する偏光フィルム用途に応用可能な新規二色性色素として,チエノ[2,3-d]チアゾール骨格を有するアゾ系色素やアントラキノン系色素を5-アルキル-2-アミノチエノ[2,3-d]チアゾールから合成した。また,比較のために,対応するベンゾチアゾール系アゾ色素も5-アルキル-2-アミノベンゾチアゾールから合成した。
    アゾ系色素末端にアミド結合を導入することで色素の融点が高くなり,優れた耐熱性,耐湿潤性も示した。合成した色素のネマチック液晶中の二色性比の比較では,ベンゾチアゾール系ジスアゾ色素のほうが,やや高い二色性比を示し,同族系での比較では,ともにヘキシル基を有する4a8aが相対的に高い二色性比を示した。一軸延伸プロピレン中で,最大でもベンゾチアゾール系ジスアゾ色素の二色性比は2.1であった。ラビング処理ポリイミドコーティングガラス基板に二色性色素を塗布した場合,二色性比は2.5~9.4を示し,トリスアゾ系色素では,クロロベンゼン溶液で塗布することで,ラビング方向に二色性色素が配列しながら,小さな結晶塊を形成して,高い二色性比を形成していることを,AFM画像から明らかにした。
解説
  • 田原 晃
    2011 年 84 巻 6 号 p. 205-211
    発行日: 2011/06/20
    公開日: 2011/09/20
    ジャーナル フリー
    鉄鋼材料を健全に使用するためには,使用される環境の腐食性評価が重要である。腐食性評価には対象材料の実暴露試験による腐食速度の測定と使用環境の環境因子から推定する二つの方法がある。実暴露による評価は高精度ではあるが長期間を有し,一方,環境因子からの推定では比較的短期間で評価が可能であるが精度が劣るという特徴を有している。実暴露試験では,近年,遮へい暴露試験が重視されており,飛来塩分の多い環境では直接暴露試験の数倍の腐食速度が観察される場合もある。
    今後,正確な大気環境の腐食性評価を行うためには,新たな暴露試験も必要であるが,従来の腐食データのデータベース化も重要なカギを握っており,NIMSでもこれらの課題に取り組んでいるところである。
最新顔料講座(第X講)
  • 津留 功
    2011 年 84 巻 6 号 p. 212-218
    発行日: 2011/06/20
    公開日: 2011/09/20
    ジャーナル フリー
    装置がシンプルかつフルカラー印刷が容易なインクジェット(IJ)プリンターは低価格コンシューマ向けプリンターとして普及し,とくに顔料を用いたインクは耐水性,耐光性が良好であることなどからビジネス分野,産業分野での用途拡大が進んでいる。今後,さらなる高速印刷に対応することでオンデマンド高速印刷市場へ展開することが期待されている。本稿では,IJプリンターおよび顔料系インクの基礎を概括し,最近発展が目覚しいマイクロカプセル型顔料分散体の特徴を紹介する。
最新塗料講座(第IX講)
  • 永井 昌憲
    2011 年 84 巻 6 号 p. 219-227
    発行日: 2011/06/20
    公開日: 2011/09/20
    ジャーナル フリー
    近年,橋梁・道路・石油備蓄基地・石油切削設備等に社会資本投入が活発である。一方で,これら設備の対策不備による腐食対策費は年々増大している。日本における腐食損失は年間3兆9769億円と報告されている1)。そこで,本稿では,鋼材の腐食機構および防食法の一つとして多く使われている塗料の防食機構について解説する。すなわち,防食機能を発揮するための塗膜の基本特性と,実構造物において塗膜が充分に機能するための実用上の注意点を説明する。
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