機能性色素を用いた太陽電池は有機薄膜型および色素増感型が知られており,製造のしやすさから色素増感型が主流になりつつある。
このような機能性色素としてフタロシアニン(PC)が注目されている。PCはQ帯と呼ばれる最高被占軌道-最低空軌道間のπ-π*遷移に基づく600~650 nm付近に極大吸収を有している。Q帯はPCのπ電子共役系を伸長することによって長波長側へ伸長することが可能であるが,さらにノン-ペリフェラル位に置換基を導入することおよびポルフィラジン環構造を歪ませることによって近赤外領域へシフトすることが報告されている。
そこで本研究では,ここでは太陽電池などのデバイスとして用いることを前提とした新規の近赤外領域に吸収をもつPCとしてノン-ペリフェラル位に,嵩高い
S-アリール基を導入した1,4,8,11,15,18,22,25-オクタキス(チオフェニル)PCの合成を行い,その分光学的および電気化学的な性質を検討した。
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