色材協会誌
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85 巻, 1 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
研究論文
  • 坂本 恵一, 古谷 直樹, 曽我 久司
    2012 年 85 巻 1 号 p. 2-8
    発行日: 2012/01/20
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル フリー
    機能性色素を用いた太陽電池は有機薄膜型および色素増感型が知られており,製造のしやすさから色素増感型が主流になりつつある。
    このような機能性色素としてフタロシアニン(PC)が注目されている。PCはQ帯と呼ばれる最高被占軌道-最低空軌道間のπ-π*遷移に基づく600~650 nm付近に極大吸収を有している。Q帯はPCのπ電子共役系を伸長することによって長波長側へ伸長することが可能であるが,さらにノン-ペリフェラル位に置換基を導入することおよびポルフィラジン環構造を歪ませることによって近赤外領域へシフトすることが報告されている。
    そこで本研究では,ここでは太陽電池などのデバイスとして用いることを前提とした新規の近赤外領域に吸収をもつPCとしてノン-ペリフェラル位に,嵩高いS-アリール基を導入した1,4,8,11,15,18,22,25-オクタキス(チオフェニル)PCの合成を行い,その分光学的および電気化学的な性質を検討した。
  • 増井 敏行, 白石 敦則, 古川 慎也, 温 都蘇, 布谷 直義, 今中 信人
    2012 年 85 巻 1 号 p. 9-13
    発行日: 2012/01/20
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル フリー
    クエン酸錯体法により,CeO2-ZrO2-Bi2O3黄色顔料を合成し,その色彩を調べることにより優環境型の無機顔料としての適正を評価した。CeO2-ZrO2-Bi2O3黄色顔料は500 nmより短い波長の光を強く吸収し,結果として鮮やかな黄色を呈した。最も色鮮やかな黄色はCe0.43Zr0.37Bi0.20O1.90の組成で得られ,CIE L*a*b*表色系における黄色度(b*)は市販のプラセオジム黄顔料(ZrSiO4:Pr)と同等であった。このCe0.43Zr0.37Bi0.20O1.90黄色顔料を陶磁器用の絵の具に用いたところ,有田焼の伝統色の一つであるが鉛やアンチモンを含む「中黄」を,有害元素を含まずに忠実に再現できることがわかった。
解説
  • 米山 雄二
    2012 年 85 巻 1 号 p. 14-18
    発行日: 2012/01/20
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル フリー
    2011年の東北地方太平洋沖地震以降,われわれは生活環境について深く考えるようになり,省エネルギー,省資源を目指した製品開発が必要となっている。洗濯用洗剤は生活を支えてきた反面,1960年代における河川での発泡,1970年代における富栄養化など,環境汚染とかかわってきた歴史をもっている。それゆえ,環境問題の解決に積極的に取り組み,日本の洗剤技術は進歩してきた。本稿では,洗濯用洗剤が行ってきた生分解性界面活性剤の導入,無リン洗剤の開発,ライフサイクルアセスメントの考えによる環境対応への取り組み事例を紹介する。
最新化粧品・ヘルスケア講座(第V講)
  • 前澤 大介
    2012 年 85 巻 1 号 p. 19-26
    発行日: 2012/01/20
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル フリー
    化粧品において有機色素は商品をイメージアップする色彩として,またほほ紅,口紅,染毛料など顔や髪を彩るものとして使用されている。合成化合物としての有機色素の歴史は古く,化粧品原料成分の中でもとくに多くの安全性や安定性にかかわる検討がなされてきた。現在化粧品に使用できる有機色素は,豊富な知見に基づいて,ポジティブリストとして厳密に管理されている。ここでは,化粧品に有機色素を使用するにあたって注意が必要な事例として(1)日本,米国,欧州の化粧品に使用できる有機色素の規制,(2)法定色素の化学構造による分類,(3)化粧品用有機色素の名称,(4)法定色素の安全性,(5)法定色素の安定性,(6)色差の管理,(7)化粧品中で有機色素が原因で生じる諸問題について述べる。
    皆様の理解の一助となれば幸いである。
最新印刷講座(第III講)
  • 長島 正幸, 花園 兼一
    2012 年 85 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 2012/01/20
    公開日: 2012/03/23
    ジャーナル フリー
    このセッションでは,グラビア印刷とは何かについて理解していただくことを目的として,グラビア印刷法の原理や,ほかの印刷方式と比較した際の特徴,さらに既存分野での適用事例についてわかりやすく解説する。
    さらに,エレクトロニクス製品製造などの新規分野への応用(プリンタブル・エレクトロニクス)が期待されるグラビア印刷法の動向および,これからの展望について述べる。
基礎塗装講座(第I講)
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