色材協会誌
Online ISSN : 1883-2199
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85 巻, 4 号
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研究論文
  • 浜村 武広, 久保内 昌敏, 青木 才子, 吉田 治, 酒井 哲也
    2012 年 85 巻 4 号 p. 138-143
    発行日: 2012/04/20
    公開日: 2012/08/04
    ジャーナル フリー
    アセタールコポリマー(Co-POM)の硝酸(HNO3)水溶液下における腐食挙動を調査し,重量,寸法,色,曲げ強さと分子量の変化から劣化度合いを評価した。浸漬後の試料表面は白から黄色に変化し,重量変化は潜伏期間を経て減少を示した。純水浸漬後の曲げ強度は、乾燥によってほぼ初期強度まで回復したが,HNO3水溶液に浸漬した試料では乾燥後も強度は回復しなかった。サイズ排除クロマトグラフィー測定から,HNO3水溶液によるCo-POMの劣化進行は試料表面付近に限定され,試料内部ではほとんど劣化は観測されなかった。腐食速度は腐食層の厚みから計算でき,それを用いることにより浸漬後の未腐食部の厚みと残存曲げ強度が予測できることを示した。これら検討から,NHO3水溶液によるCo-POMの劣化進展は腐食層形成型であった。
技術論文
  • 石井 利博, 橋本 和明
    2012 年 85 巻 4 号 p. 144-150
    発行日: 2012/04/20
    公開日: 2012/08/04
    ジャーナル フリー
    マイクロビーズ対応型ビーズミルの運転条件の違いによる投入動力量と二酸化チタンの生成物粒子径との関係を実験より求め,分散に及ぼすファクターの解明を行った。また,攪拌部材であるディスクの形状や大流量循環型ビーズミルとの比較を行い,ナノメートル領域への分散効率の向上について,機械の構造の違いからも検討した。評価には,粉体の一次粒子径の違いや実験装置の運転条件の違い,ビーズミルの構造の違いによる分散時間や投入動力量と分散により得られた粒子のメディアン径X0.5との関係を調べた。一般に,ビーズミルの分散効率は機械的条件(運転条件,形状条件)で変化し,とくに微小ビーズを使用することで,短時間で到達粒子径が小さくなることは知られていたが,本研究により,投入動力量を用いることでビーズ径が分散効率に与える影響が大きいことがわかった。今回の実験に用いた試料をビーズミルで分散する場合,ビーズ径が同一で,スラリー濃度(組成)やフィード粒子径が同じであれば,アジテータの周速,充填率が変化しても,分散された粒子のメディアン径は投入動力量で決定することを明らかにした。
解説
  • 荒牧 賢治
    2012 年 85 巻 4 号 p. 151-155
    発行日: 2012/04/20
    公開日: 2012/08/04
    ジャーナル フリー
    リオトロピック液晶は界面活性剤や脂質が溶媒中で形成する規則構造をもった集合構造であり,濃度,温度を調整することによって得られる。粘稠な性質をもつため,リオトロピック液晶中に水あるいは油を分散させることで高い粘性をもつゲルエマルションが得られる。ここではヘキサゴナル液晶(H1)やミセルキュービック相(I1)を用いたO/H1型,O/I1型のゲルエマルションの調製法と粘弾性特性について簡単に述べたあと,透明ゲルエマルションの調製について詳述した。通常のエマルションと同様に,O/H1型,O/I1型ゲルエマルションは連続相と分散相との屈折率差のため,白濁している。しかし,グリセリンを加えることで透明なO/H1型およびO/I1型ゲルエマルションを得ることができる。グリセリン濃度を変化させたときに,透明ゲルエマルションが得られる組成と,I1相と油相の屈折率が一致する組成が同じことから,連続相と分散相のコントラストマッチングにより透明ゲルエマルションが得られたことがわかった。
最新化粧品・ヘルスケア講座(第VIII講)
  • 五十嵐 崇訓
    2012 年 85 巻 4 号 p. 156-163
    発行日: 2012/04/20
    公開日: 2012/08/04
    ジャーナル フリー
    ファンデーションの開発では,ファンデーションを塗布した肌の色,つや,透過性を適正化するために,その光学特性の制御法が重要な技術テーマとなっている。このようなファンデーションの光学特性制御はおもに二つのアプローチにより達成されている。一つ目は,目的の光学特性を発現する粉体を合成し,この粉体をファンデーションに配合することで目的の特性を作り出すものである。二つ目は,ファンデーションを肌上に塗布した際に形成される化粧膜に,目的の光学特性を発現する構造を与えるものである。いずれの方法においても,光学特性の中でもとくに重要な反射に着目した研究が数多く報告されている。本報では,とくに消費者からの期待が高い,透明感のある美しい化粧仕上がりを目的とした先行研究をおもな事例として取り上げながら,ファンデーションの反射特性の具体的な制御法の概要を紹介する。さらに,この概要を受けて,今後の技術課題についてコメントする。
    図-8 美肌と一般的な肌の変角肌画像
最新印刷講座(第VI講)
  • 佐々木 英彦
    2012 年 85 巻 4 号 p. 164-171
    発行日: 2012/04/20
    公開日: 2012/08/04
    ジャーナル フリー
    近年,環境に対する意識の高まりなどからフレキソ印刷が注目されている。フレキソ印刷には,ゴムや樹脂製の柔らかくフレキシブルな印刷版が用いられる。その柔軟なフレキソ版の特性は,平滑性に劣る被印刷体に対しても良好な印刷が可能な一方で,網点や細字,細線などの印刷再現を阻害する要因の一つともなっている。そして,これまでにフレキソ版,さらにはフレキソ印刷の再現性向上を目的としたさまざまな製版技術が発表され,フレキソ印刷の品質改善に寄与している。本稿では,革新的な進化がみられるフレキソ製版技術のうち,最近とくに注目されている“フラットトップドット”形成技術についてさまざまな方式を中心に紹介する。
    図-16 DgiCap NXスクリーニングベタ濃度の増加とカラーガモットの拡張例
基礎塗装講座(第IV講)
  • 寺田 勝
    2012 年 85 巻 4 号 p. 172-178
    発行日: 2012/04/20
    公開日: 2012/08/04
    ジャーナル フリー
    最近の自動車塗装技術の動向について,塗装機,塗装ロボットと制御システムについて述べた。今日の塗装技術に対してさらなる環境負荷の低減が求められており,塗装ブース面積の縮小化と多色化に柔軟に対応する塗装システムが求められている。塗装機においては,エアモータの高性能化による塗料の大吐出量化,塗料のオーバースプレー量を大幅に削減できるパターン制御技術,塗装ブース面積の縮小化と多色化を実現できる洗浄機能付カートリッジ,および塗装機に飛散した塗料粒子が付着することを防ぐ汚れ防止機構について述べた。塗装ロボットにおいては,可動範囲の広い壁掛け式ロボットと,本ロボットが可能にするブースの省面積化について述べた。制御システムにおいては,一般的な機器構成,制御方式および機器のもつ遅れの補正について述べた。
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