色材協会誌
Online ISSN : 1883-2199
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85 巻, 5 号
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研究論文
  • 前川 昌輝, 本田 大介, 榎村 眞一, 酒井 秀樹, 阿部 正彦
    2012 年 85 巻 5 号 p. 185-190
    発行日: 2012/05/20
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    強制薄膜式リアクター(FTFR)を用いて,銅フタロシアニン(Cu-Pc)と臭素化塩素化亜鉛フタロシアニン(Zn-Pc)の固溶体ナノ粒子を作製した。実験は,発煙硫酸に溶解させたCu-PcとZn-Pcの混合溶液を水に希釈することで,粒子を析出させる方法を用いた。作製したフタロシアニンナノ粒子は,XRD,IR,ICPおよびSTEM-EDSにて評価した。その結果,CuとZnが均一に分布した10~30 nmの固溶体ナノ粒子であることがわかった。UV-Visを用いて可視光領域における透過スペクトル特性を評価した。その結果,CuとZnのモル比を制御することによって,透過スペクトル特性を制御できることがわかった。TG・DTAを用いて熱的特性を確認した。その結果,固溶体化することで分解温度が上昇することがわかった。これらの結果からFTFRを用いることによって新たな特性のフタロシアニンナノ粒子を作製できることを見いだした。
    Fig. 7 STEM-EDS analysis of nano pigment particle manufactured by FTFR under No.2 condition [(a) STEM image *red square displays mapping area (b) HRTEM image (c) Br mapping image (d) Cu mapping image (e) Zn mapping image (f) EDS chart].
ノート
解説
  • 石井 昌彦
    2012 年 85 巻 5 号 p. 196-200
    発行日: 2012/05/20
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    単分散微粒子の規則配列からなるコロイド結晶は,人工オパールとも呼ばれ,鮮やかな構造色を呈する。このコロイド結晶を意匠性色材として広く利用するうえで,短時間で大面積に成膜することが可能な作製法が望まれる。本稿では,スプレー塗装法によるポリマー固定化コロイド結晶膜の作製について筆者らの検討結果を報告する。シリカ微粒子をアクリルモノマーに分散させた分散液の粘度の調整と基板の濡れ性制御により,平坦で鮮やかな構造色を呈するコロイド結晶膜を作製することができた。さらに,局所的に濡れ性の異なる領域を基板面内に形成することにより,1回のスプレー塗装により発色性の異なる領域を形成することができ,任意のパターン形成が可能なことを示した。
    図-8 部分的に濡れ性を変えた基板にスプレー塗装して得られたコロイド結晶膜の外観写真
最新化粧品・ヘルスケア講座(第IX講)
最新印刷講座(第VII講)
  • 河村 英司, 岩崎 浩
    2012 年 85 巻 5 号 p. 208-214
    発行日: 2012/05/20
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    紙幣をはじめとした有価証券類は,多かれ少なかれ偽造の脅威にさらされている。偽造手法は,時代とともに技術環境が変化していく中で,偽造防止策も常に変化していく必要がある。とくに,近年のデジタル印刷技術の進化は,偽造・模造に特別なスキルが必要なくなり,偽造のハードルが低くなったとも言える。ある程度の品質の偽造・模造は,身近なデジタル機器を使用して,なし得る新たな時代の到来である。ここでは,銀行券を中心にパスポートなどに採用されている最新偽造防止技術の概要について解説する。
    図-5 券種ごとにサイズを変え色分けされたユーロ券
基礎塗装講座(第V講)
  • 金井 洋, 白垣 信樹
    2012 年 85 巻 5 号 p. 215-221
    発行日: 2012/05/20
    公開日: 2012/08/20
    ジャーナル フリー
    カーテンコーターの特徴は,非接触塗布でリビングやカスケードなど接触塗布で見られる欠陥がないこと,塗液が重力によって加速されてから塗布されるため空気同伴が発生しにくいことである。膜厚はカーテンに供給される液量で制御される。操作限界は,カーテンが形成できる限界流量の存在,カーテンが被塗物に引張られて発生するカーテンの振動や空気同伴,およびカーテンの下流部に液溜まりができることによって発生する振動や空気同伴である。一方,ロールコーターは,機構が比較的単純で使いやすいこと,幅広い粘度範囲の液を,幅広い膜厚で塗布できることが特徴である。膜厚は,ロール間のギャップと,ロールの周速比によって制御される。おもな操作限界は,リビングやカスケードの発生,液の供給不足などである。両コーターの操作限界が存在する理由や,操作限界の具体例についても,これまでに報告された文献を基に,簡単に述べた。
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