色材協会誌
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85 巻, 6 号
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研究論文
  • 前川 昌輝, 本田 大介, 榎村 眞一, 酒井 秀樹, 阿部 正彦
    2012 年 85 巻 6 号 p. 229-234
    発行日: 2012/06/20
    公開日: 2012/09/20
    ジャーナル フリー
    強制薄膜式リアクターを用いてAgCuナノ粒子の作製を検討した。硝酸銀と硝酸銅をAg:Cu=85:15,70:30と50:50(mol%)でエチレングリコールに溶解させた溶液に還元剤溶液を加え,AgCu粒子を同時還元析出させる方法を用いた。還元剤溶液には,還元剤としてヒドラジン一水和物,pH調整剤として水酸化カリウム,保護剤としてポリビニルピロリドン(M=40,000)をエチレングリコールに溶解させた溶液を用いた。作製した粒子をTEM-EDS,STEM-EDS,XRD,ICPおよびDSCを用いて分析した。その結果,10~20 nm程度の粒子径で,原料配合組成をもつAgCu合金ナノ粒子が生成することを明らかにした。
  • 片山 英樹, 関 賢吾, 四反田 功, 板垣 昌幸, 升田 博之
    2012 年 85 巻 6 号 p. 235-239
    発行日: 2012/06/20
    公開日: 2012/09/20
    ジャーナル フリー
    非接触で電気化学的な電位分布を測定可能な表面電位測定により,塗装鋼板の劣化評価を行った。塗膜下腐食を模擬したモデル試料の表面電位測定を行った結果,実際の劣化とほぼ同じ面積の劣化部が検出され,塗膜下においても劣化を検出できることがわかった。塗装鋼板を劣化させるため,0.5M NaCl水溶液の液滴下で乾湿繰り返し腐食試験が行われた。乾湿繰り返し腐食試験により劣化させた塗装鋼板の表面電位分布は3サイクル後,変化した。塗膜の劣化部は乾湿繰り返しサイクル数とともに大きくなり,10サイクル後,腐食試験で用いた液滴のサイズとほぼ同じ大きさになった。表面電位測定は塗装鋼板の劣化を非破壊で評価する手法として,有用であることがわかった。
解説
  • 前田 重義
    2012 年 85 巻 6 号 p. 240-248
    発行日: 2012/06/20
    公開日: 2012/09/20
    ジャーナル フリー
    導電性樹脂のポリアニリンは鉄および非鉄金属に対し腐食防止効果を有することがわかった。ポリアニリンは合成が容易で,優れた環境安定性を有し,しかもコストが安い特徴がある。鋼におけるポリアニリンの腐食抑制メカニズムはポリマーと鉄表面との間に電気化学反応によって薄い保護性の酸化層が生成することに基づいている。走査振動電極法(SVET)によって,ポリアニリン皮膜には欠陥の自己修復作用のあることがわかった。ポリアニリンはエポキシやアクリルなどの通常の塗料に対するプライマーや防錆添加剤として用いられる。米国航空宇宙局(NASA)はフロリダのケネディ宇宙センターのスペースシャトル発射台の防錆にポリアニリン含有塗装を採用した。
最新化粧品・ヘルスケア講座(第X講)
  • 那須 昭夫
    2012 年 85 巻 6 号 p. 249-253
    発行日: 2012/06/20
    公開日: 2012/09/20
    ジャーナル フリー
    粉体分散系の解析は,これまで個人の経験や官能に基づく定性的な評価がほとんどであったため,技術としてなかなか確立せず,個人の主観に委ねられる傾向にあった。しかしながら,近年,紫外線散乱剤と総称される紫外線を防ぐために必要な微粒子粉体の需要が高まってくると,小さな凝集性の強い粒子を細かく均一に分散する技術やさらにはその分散状態を正しく評価するシステムを開発する必要が生じてきた。今回,微粒子粉体を分散したサスペンションに対し,レオロジー的解析を行うことにより,微粒子の凝集性やその構造までも明らかにする手法を確立した。さらには,微粒子の配合目的である紫外線遮蔽能とレオロジーパラメーターとの相関性も解析し,レオロジーデータから紫外線防御性を予測することも可能となった。ここでは,その解析手法について,実際の研究例を中心に解説する。また化粧品製剤への応用例についても触れる。
最新印刷講座(第VIII講)
  • 小関 健一
    2012 年 85 巻 6 号 p. 254-258
    発行日: 2012/06/20
    公開日: 2012/09/20
    ジャーナル フリー
    インクジェット技術は,必要な場所に,必要量のさまざまな機能性材料を,非接触で高速かつ正確に着弾させる技術である。そこには銀塩写真のような高画質な画像形成ができ,商業印刷機のスピードに迫る高速性を可能にしているさまざまな技術がある。ここではプリントヘッド技術,紙などのメディアおよびインク材料,さらには各種の応用例について紹介する。それぞれの技術が協力し最適化されることにより,プリンテッドエレクトロニクスを含め,さらに幅広い分野への広がりが期待される技術である。
基礎塗装講座(第VI講)
  • 平野 浩司, 溝口 佳孝
    2012 年 85 巻 6 号 p. 259-264
    発行日: 2012/06/20
    公開日: 2012/09/20
    ジャーナル フリー
    日本におけるアルミ建材では,アルミニウム素材に陽極酸化処理を施して「陽極酸化皮膜(アルマイト皮膜)」を形成させ,さらにアニオン電着塗装にて形成した「電着塗膜」からなる『複合皮膜』が大半を占めている。このシステムは1960年代に登場し,数々の改良がなされる中,高温多湿・沿岸部の多い厳しい日本の環境下に適したものとして,飛躍的に伸びた日本発祥のシステムである。本稿では,この『複合皮膜』の形成処理工程について述べるとともに,電着塗装ラインにおける設備,塗装原理,塗料タイプの変遷について解説する。
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