色材協会誌
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86 巻, 3 号
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研究論文
−小特集 成長し続けるインクジェット技術−
  • 小関 健一, 三ヶ田 こころ, 鄭 京模
    2013 年 86 巻 3 号 p. 77-82
    発行日: 2013/03/20
    公開日: 2013/06/20
    ジャーナル フリー
    インクジェット技術の産業分野への導入が進む中,UV硬化型インクは光照射により瞬時に硬化乾燥させることができるため,作業の短期間化や省スペース化が可能となる。ラジカル重合型ジェットインクは,硬化性に優れ表面張力を下げることでPETなどの基材に接着させることができるが,硬化時の収縮が大きいために十分な接着性が得られないことも多い。本研究では,硬化にともなう体積収縮が小さく基板に対する良好な接着性が期待できる,無溶剤タイプのカチオン重合型ジェットインクに着目し,高感度,低粘度,ガラス基板への完全な接着,および十分な硬化膜強度,の四つの条件を満たす組成について検討した。その結果,二種類の2官能エポキシモノマーとオキセタンモノマーを最適な比率で用いることで,四つの条件を満たすインク組成を求めることができ,実機での印字テストを行ったところ,ガラス基板,PMMA基板およびポリ塩化ビニル基板の三種類の基板に十分な接着性を示す印字が可能であった。
資料
−小特集 成長し続けるインクジェット技術−
  • 三浦 溱介, 後藤 陽, 野口 弘道
    2013 年 86 巻 3 号 p. 83-92
    発行日: 2013/03/20
    公開日: 2013/06/20
    ジャーナル フリー
    レオメーターでは測定し難い低粘度の水性インクジェットインクの粘弾性挙動を,従来と異なる新しい共振式粘弾性測定法により測定した。
    測定対象は化学表面修飾型カーボンブラックインクに,樹脂粒子分散体を加えたインク系列,および溶解状態の水溶性樹脂を加えたインク系列である。
    これらのインクの粘弾性挙動をより詳細に解析するために,粘弾性測定値から,単一緩和モデルの常数ηητGを導出する方法を提案した。算出された各成分の系に対するηητGと粘度絶対値ηabと粘弾性位相角δの,温度依存性,および樹脂粒子,溶解樹脂の含有量依存性を吟味した。
    樹脂粒子分散系では添加量の増加につれてηGが三次関数的に増加するが,樹脂溶解系では線形的に増加する。またτは,両系ともに添加量増加につれてほぼ線形的に減少する。樹脂粒子の添加はカーボンブラック粒子と類似にふるまうが,溶解樹脂は溶媒の性質を変化させる。本研究の理論と実験結果の前提となる共振式粘弾性測定原理を詳細に解説した。
解説
−小特集 成長し続けるインクジェット技術−
  • 田沼 千秋
    2013 年 86 巻 3 号 p. 93-97
    発行日: 2013/03/20
    公開日: 2013/06/20
    ジャーナル フリー
    無鉛圧電セラミックスは,環境保全意識の高まりを受けて研究開発が活発に行われている。とくに,ニオブ酸アルカリ系無鉛圧電セラミックスは,これまで代替が難しいとされていたアクチュエータなどのハイパワー応用分野で,チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系に迫る圧電特性を実現できる可能性があることが広く知られるようになり,材料開発,電子デバイスへの応用に関する研究報告が増えている。本稿では,無鉛圧電セラミックスの研究開発の現状を述べ,ニオブ酸アルカリ系無鉛圧電セラミックスを用いた電子デバイスの例として産業用インクジェットヘッドの開発状況について紹介する。
解説
−小特集 成長し続けるインクジェット技術−
最新表面科学講座(第VII講)
最新分散講座(第III講)
  • 久司 美登
    2013 年 86 巻 3 号 p. 114-118
    発行日: 2013/03/20
    公開日: 2013/06/20
    ジャーナル フリー
    高分子分散剤の選定や設計に参考となる事例や考え方を解説した。分散剤が作用する各過程を,ぬれ・吸着・安定化に分け,それぞれで必要とされる機能を考えた。吸着・安定化には多点吸着やトレイン-ループ-テイル型吸着形態のとれる高分子量体が有利である。ぬれ促進のための表面張力低下に適したアルキル基の炭素数を前進接触角(θa)と後退接触角(θr)から推定した。分散剤水溶液の濃度と表面張力の関係からモノマー連鎖制御の有無によるミセル形成プロセスの違いをモデル化し,分散剤に適した分子構造を推定した。分散剤開発に有効なCRP技術の最近の進歩から,金属触媒使用量減と取り扱い性が向上したICAR ATRPと,付加解裂型連鎖移動反応性を示すMSD(α-メチルスチレンダイマー)由来不飽和基による合成例を紹介した。
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