粒子の分散性は溶媒が純水である場合,Derjaguin-Landau-Verwey-Overbeek(DLVO)理論で予測できる。しかし,実際は,DLVO理論で予測されるよりはるかに強い相互作用が粒子間に働くことが知られている。これらは総称して,非DLVO力と呼ばれている。非DLVO力は,表面間力装置や走査型プローブ顕微鏡のコロイドプローブ法で測定可能である。本稿では,コロイドプローブ法で測定された非DLVO力を紹介した。異なるイオンが添加された電解質水溶液中のAl
2O
3-サファイア間相互作用を測定したところ,固体間距離が20 nm以上では共存イオンの種類にかかわらず,DLVO理論と一致した。20 nm以下では,水和層と考えられる反発力が観察され,その厚さは,イオンの種類によって異なった。また,反発層の厚さがサスペンション中の粒子の凝集性にも影響することを明らかにした。また,有機添加剤が共存する系では,固体表面に吸着した高分子由来の反発力や,架橋吸着による引力が発現した。これらの性質は,溶媒の条件によって大きく変化することを明らかにした。
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