膜厚・格子定数制御を行ったパラジウム膜における水素吸蔵に関して,昇温脱離スペクトルにより測定を行った。
パラジウム膜厚に対して昇温脱離スペクトルを観測することで,水素の吸蔵深さを測定することができる。αシグナルと呼ばれる脱離シグナルはパラジウム表面から数十原子層程度の極近傍にのみ吸蔵されていると考えられているが,パラジウム1000原子層以上の深いバルク域にも吸蔵されていることがわかった。
またパラジウムと銀の超格子を作製し,パラジウムの原子間距離を2%拡張した系においてその水素吸蔵量を測定した所,バルクパラジウムでは観測されない高温領域(600〜1,200 K)において多量の水素が脱離されることがわかった。
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