色材協会誌
Online ISSN : 1883-2199
Print ISSN : 0010-180X
ISSN-L : 0010-180X
86 巻, 9 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
研究論文
  • 平原 英俊, 工藤 孝廣, 森 克仁, 松野 祐亮, 森 邦夫
    2013 年 86 巻 9 号 p. 321-324
    発行日: 2013/09/20
    公開日: 2013/12/20
    ジャーナル フリー
    フッ素ゴム(ビニリデンフルオリド-ペンタフルオロプロペン共重合体,FKM)上への銅めっきを金属との反応性をもつチオール基とOH基との反応性をもつアルコキシシリル基を有する6-(3-トリエトキシシリルプロピルアミノ)-1,3,5-トリアジン-2,4-ジチオールモノナトリウム塩(TES)を用いて検討した。FKMシートへのTES導入は大気雰囲気下でコロナ放電処理,TESエタノール/水混合溶液で浸せき処理によって行った。TES処理FKMシートへの銅めっきはPd-Snによる無電解銅めっきと電気めっきによって行った。FKMシート表面の性状は接触角,化学組成はX線光電子分光法で測定した。未処理FKM表面の水に対する接触角は104°であったが,コロナ放電処理回数が増加するとともに減少し約70°で一定となった。FKMはコロナ放電処理によって表面エネルギーの増加と酸素原子が導入され,続くTESとの反応においては酸素原子導入量とTES導入に相関があった。TES処理FKM銅めっき物の銅はく離強度は5 kN/mと非常に高い密着力を示した。
−小特集 環境配慮型の塗料の最前線−
解説
解説
  • 木口 忠広, 安藤 祐
    2013 年 86 巻 9 号 p. 330-335
    発行日: 2013/09/20
    公開日: 2013/12/20
    ジャーナル フリー
    金属外装建材分野に使用する建築用アルミニウム合金材料の上塗り塗料には,溶剤系加熱硬化型塗料が採用されてきた。近年では地球環境の保全や人間の健康安全に対する世界的な要求から,日本国内では有機溶剤を含まない粉体塗料の適用を念頭にした研究結果が多く報告されている。
    報告結果から熱硬化型ポリエステル粉体塗料は,熱硬化型ふっ素樹脂粉体塗料と比較して塗膜の下地基材への付着性および加工性は優れているが,耐候性に関しては熱硬化型ふっ素樹脂粉体塗料の方が優れていた。
    そこで著者らは下地基材への高い付着性および優れた耐候性の両立を目的に,熱硬化型ポリエステル粉体塗料,熱硬化型ふっ素樹脂粉体塗料,および樹脂特性が異なるポリエステルとふっ素樹脂から構成される混合粉体塗料の金属外装分野への適用について紹介する。
解説
  • ~日本塗料工業会の取り組みを中心に紹介~
    渡辺 健児
    2013 年 86 巻 9 号 p. 336-339
    発行日: 2013/09/20
    公開日: 2013/12/20
    ジャーナル フリー
    日本塗料工業会では「環境,安全,健康に関する取り組み」に関する問題を最重要課題として取り上げ,各種自主的取り組みを推進している。塗料・塗装において,環境にやさしく貢献するため,大気汚染低減,省資源,省エネルギー,健康・環境負荷低減,土壌汚染低減など目標に掲げ,環境配慮塗料の開発を行っている。環境配慮塗料は,人や生態,そして地球環境への負荷低減や緩和を行っている。省エネルギーを目的とした環境配慮塗料の最近の動向をタイにおける高日射反射率塗料の実証事業,省エネルギー形の防汚塗料について簡単に紹介する。
総説
  • 大津 理人, 工藤 伸一
    2013 年 86 巻 9 号 p. 340-344
    発行日: 2013/09/20
    公開日: 2013/12/20
    ジャーナル フリー
    著者らは,UV硬化性官能基を有するポリシロキサンとアクリルポリマーを化学的に複合化し,新規な無機-有機ハイブリッド樹脂を開発した。得られた樹脂溶液や硬化フィルムの特性について,系統的な評価を行ってきたところ,この樹脂は長期耐候性にきわめて優れ,さらにセルフクリーニング効果による防汚性を有するというユニークな特徴を有することが判明した。このような特性から,開発したUV硬化樹脂は,屋外使用を想定したプラスチック基材の保護コート剤としての応用が期待できる。本稿では,開発した無機-有機ハイブリッド樹脂の特徴およびその応用例について述べる。
最新表面科学講座(第XIV講)
  • 安谷屋 武志
    2013 年 86 巻 9 号 p. 345-353
    発行日: 2013/09/20
    公開日: 2013/12/20
    ジャーナル フリー
    亜鉛めっき鋼板とひとことでいっても,最近ではめっき皮膜物性の異なる種々の製品が製造されている。それらは基本的な耐食性以外に,使用分野ごとに重視される機能を最も合理的に発現すべく開発されてきた製品である。おもなものに:1)スタンダードな溶融亜鉛めっき鋼板(GI),2)スポット溶接性やプレス加工性を重視した合金化処理亜鉛めっき鋼板(GA),3)耐食性重視のZn-55%Al合金めっき鋼板(GL),4)犠牲防食性を改善したZn-低Al-(Mg)合金めっき鋼板(GF),5)白色美麗な表面を重視した電気亜鉛めっき鋼板(EG),などがある。本報告ではめっき皮膜組成および皮膜物性の点からこれらめっき鋼板を概説する。
最新分散講座(第VIII講)
  • 柿澤 恭史
    2013 年 86 巻 9 号 p. 354-360
    発行日: 2013/09/20
    公開日: 2013/12/20
    ジャーナル フリー
    シャンプー中に配合したシリコーンの分散,凝集を制御する因子や考え方を解説した。シャンプーの性能や安定性には,シリコーンエマルジョンに用いるシリコーンオイルの種類,乳化剤の種類や乳化方法,乳化物の粒子径の選定が重要である。また,製剤中での安定化に関して,凝集,クリーミング,外相などの因子に分け,安定性向上策を物理化学的視点から紹介した。一方,アニオン性界面活性剤とカチオン性高分子との複合体に着目し,シャンプー中のシリコーンを毛髪に付着させるトリガーシステムについて解説した。複合体の析出挙動は,界面活性剤の混合比率やカチオン高分子のカチオン化度でコントロールされ,硬いゲル状の複合体を形成する場合にはシリコーンの付着量は多くなり,複合体を形成しない場合にはシリコーンの付着量は激減した。複合体の形態をコントロールする因子と,シリコーン吸着量の関係について解説した。
feedback
Top