色材協会誌
Online ISSN : 1883-2199
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87 巻, 11 号
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研究論文
  • 酒井 俊郎, 瀬尾 桂太
    2014 年 87 巻 11 号 p. 387-392
    発行日: 2014/11/20
    公開日: 2015/02/20
    ジャーナル フリー
    本研究では,油中水滴型(W/O)エマルションの分散安定化機構を明らかとするため,乳化剤フリー(Emulsifier-free;EF-)W/Oエマルションの分散安定性について検討した。その結果,パラフィン油を分散媒としたEF-W/Oエマルションの分散安定性は,分散媒がヘキサン<オクタン<デカン<ドデカン<テトラデカン<ヘキサデカンの順に向上することがわかった。さらに,植物油(大豆油,コーン油,オリーブ油)を分散媒に使用すると,EF-W/Oエマルションの分散安定性がいっそう向上することが明らかとなった。EF-W/Oエマルションの分散安定性と分散媒である油の物性値とを比較してみると,EF-W/Oエマルションの分散安定性は,分散媒(油)と分散質(水)との密度差および分散媒(油)の粘度に強く依存していることが明らかとなった。
ノート
  • 髙田 彩加, 呉 彬, 野々村 美宗, 柴田 雅史
    2014 年 87 巻 11 号 p. 393-397
    発行日: 2014/11/20
    公開日: 2015/02/20
    ジャーナル フリー
    MCM-41型メソポーラスシリカのピッカリング乳化(粉体乳化)性能を調べた。通常のシリカゲルと比較して,メソポーラスシリカは溶媒中での良好な分散性と,均一なナノサイズの細孔内に有機分子を強く吸着するという特徴を有する。
    メソポーラスシリカの細孔内へオイルを吸着させた後,水を加えて攪拌を行うと,一般の無機粉体では必須である有機表面処理をしなくてもO/W型エマルションが生成した。また,メソポーラスシリカをエタノール処理すれば,さらにその乳化能力は向上し,幅広い水/オイル比率で均一なO/Wエマルション相を得ることができた。
総説
  • 川本 徹
    2014 年 87 巻 11 号 p. 398-402
    発行日: 2014/11/20
    公開日: 2015/02/20
    ジャーナル フリー
    プルシアンブルーは長年使用されてきた青色顔料の一つである。プルシアンブルーと,その一部金属原子を置換したものなどを含むプルシアンブルー型錯体が,顔料としてだけではなく,放射性セシウム吸着剤,色変化素子,二次電池正極,バイオセンサ等,非常に多様な用途での応用が検討され始めており,一部は実用化されている。また,プルシアンブルー型錯体をナノ粒子化することで,さらなる機能向上を目指す試みもある。本解説では,プルシアンブルー型錯体の構造制御に焦点を当て,現状検討されている用途展開に加え,ナノ粒子化の展開について紹介する。
  • 四方 俊幸
    2014 年 87 巻 11 号 p. 403-409
    発行日: 2014/11/20
    公開日: 2015/02/20
    ジャーナル フリー
    水に溶解する高分子物質の水和挙動が,50 GHzに及ぶ超高周波数域誘電緩和スペクトルに基づいて精密に議論できる。水分子は比較的大きな電気双極子を有するだけでなく,液体状態でも密に張り巡らされ,ある長さの寿命をもった水素結合ネットワークを形成している。水溶液中で最も高い周波数域で観測され純水の再配向時間と同じ緩和時間を有する緩和過程は,水溶液中の自由な水分子の分子運動を反映するので,その緩和強度から溶質高分子の水和数を見積もることができる。一方,緩和時間が純水の再配向時間よりも長い二番目の緩和過程は,高分子に水和した水分子と自由水との交換過程を反映する。
最新接着講座(第11講)
  • 西野 孝
    2014 年 87 巻 11 号 p. 410-414
    発行日: 2014/11/20
    公開日: 2015/02/20
    ジャーナル フリー
    ポリ-α-オレフィンを取り上げ,異種高分子として線状低密度ポリエチレン/アイソタクチックポリプロピレン,同種高分子として線状低密度ポリエチレン/重水素化ポリエチレンのラミネート界面について放射光マイクロビームX線回折,微小角入射X線回折,ナノラマン散乱,走査型サーマル顕微鏡を用いた界面ナノ解析の事例を紹介した。バルクに比較して,表面と同じく界面においても高分子の構造は乱れており,微結晶サイズは小さいが,熱処理によりサイズが増加し,バルクの値に近づいた。いずれも場合も界面厚みはマイクロメータのオーダとして得られ,異種高分子の組み合わせでは熱処理により界面厚みが減少し,同種高分子では界面厚みが増加した。界面厚みと接着強度とは相関することを見いだした。
耐久・防食講座(第3講)
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