粉末光触媒を用いた可視光照射下での水の完全分解に関する既往の研究は一段階励起,二段階励起による分解の二つに区分される。 それらを概説したのち,それらを参考に,また違った観点から,可視光照射下で純水の完全分解が可能な光触媒創製を試みた。一段階励起ではタンタル酸銀のタンタルサイトをニオブ置換(AgTa
0.7Nb
0.3O
3)により伝導帯下端を正の電位シフトすることによって可視光での純水の完全分解を達成した。また二段階励起では銀を酸化還元対および接着剤として用い,水素発生光触媒としてのロジウム酸亜鉛,酸素発生光触媒としてのアンチモン酸銀を接合することによって全固体型二段階励起光触媒ZnRh
2O
4/Ag/Ag
1−xSbO
3−yを創製した。この二段階励起光触媒は可視光照射下で純水を完全分解できた。後者の方法はさまざまな水素・酸素発生光触媒に適用可能であり,現状,波長600 nmまでの可視光を利用して純水の完全分解に成功している。
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